「さてと……」
フィンが調理をし始める中、身に着けていた懐中時計を懐から取り出す。
その姿はさながら、時空を超え、夜空に舞う。そんな詩人めいた男の姿にも見えはしたが――。
「タイマーセットしとこう」
料理の提供時間を測るだけの見かけだけの行動であった。
「しかし、俺が来てから全員蒸発してしまったのは申し訳ないな。知人曰く、穴場のダイナーがあるとのことだったから、その分の売り上げを俺が損失させてしまったのなら補填したいところだけど……」
「ん~?あぁ、星詠みの計測だと駄目なのか……残念だ」
「やはりここは君のオススメを滅茶滅茶食いまくるしかないな。流石に空腹には勝てん」
独り言に近い、フィンに語り掛けるような声色。
口元には僅かに涎を垂らしている形跡があり、いまかいまかと待っていた。
「ハ~イ!☆ わかりマシタ! じゃあチェリー・バーガーとワタシのオススメで―――バカでかいやつ???」
ん?? と語尾が上がり、カタコトだった口調が抜けて流暢になる。
「え? あぁうん待つ……ん? は? よかった?」
「バカでかいやつ????」
汗を浮かべながらオウム返しのように呟いた。
「……ン~、わかりマシタ!! 少々おマチ~~☆☆」
考えることをやめ、キッチンで忙しなく動きはじめた。