唐突に訪れる悪寒。
皮膚から浸透しはじめた氷属性のエーテルが、体内へと潜り込み、
彼女の体温を急激に奪っていた。
凍える振動に沿って、彼女の小さな身体のあらゆる部位は小刻みに揺れ、
それらを抑え込むように自身の身体を抱きしめるよう両手で抱えていた。
「――さ、さっ、ざむぃ……!」
「飲料用のエーテルを、体外から取り込んだ影響か……!」
「は、はやく、服を着なければ――」
手元に持っていたローブを着ようと、両手で摘まんで頭まで持っていく。
だが、その手先は悴んで力が入りきっておらず
パサッ
彼女の微振動の摩擦の影響もあってか、力無く床へと衣類が落ちていった。
再び自身の身体の体温を守るように抱きかかえ、その場で立ち尽くしてひたすら揺れ続ける。
「くっ……!ち、力が入らない……!」
「し、シグ、再三ですまない」
「着せてくれ……!!自分では着れる気がしない!」
「多少身体に触れても構わん……!変な所は避けてもらえると助かる――ッッ」
落ちた衣類を拾い上げる事も出来ないのか、ただガタガタと震えて彼が着せてくれるのを待つだけであった。
「羞恥心に感けて身体に影響を及ぼす事柄を疎かにするわけにはいかない」
「緊急的な生命維持の定め。肌を見せる程度の事、造作もないさ」
先までひょうきんにも熱がっていた人間の台詞ではない。
「他のサンプルが必要だな」
ふわりと舞い落ちてきた衣類が、彼女の頭に着地。
特に退かす事も無く、籠った声で喋り続けた。
「一度の成果で結論付ける訳にはいかないが、基を盤石とした研究の末に待っていたのは」
「被検体の特異体質によるエラーである可能性もある」
「エーテルという概念との相性が、そもそも私に通じていないことだって――」
モゴモゴと服越しに話しかけつつ、一旦ローブを下ろす。
「だがエーテルの相殺関係は自然と説けたようだな」
「これを応用していけば毒消しの類もまた――」
そうしてローブを着ようとするが、
途端に彼女はガタガタと身を震わせはじめた。
その振動は先の暑がっていたものとは異なる。