笑顔をそのままに、声の温度がわずかに下がる。
「『相席』が任務になるなら、普通に考えると、本来の依頼料以上の報酬が、君の胃袋の中に収まったことになるよね?」
「だって相席するだけだよ?」
そう言って、空になった”うな重”の皿を指先で触れる。
「そして胃袋の収まった食べ物はもう出てこない……だったら、その先に受け取ってしまった報酬分は、僕のために働いてくれないと……」
「って話に、なるよね?」
「―――ま、この話はまた次回にしようか。今日は様子見だけのつもりだったし、あんまり長居してもアレだからね」
そう言いながら席から立ち上がる。
財布を取り出し、卓上に代金を置く。
「また来るからさ、その時、僕とじっくり話し合おうよ」
「君、つまらなくないね。本当に声をかけてよかったよ―――じゃ、またね。コトハちゃん」
コトハの横を通り過ぎる瞬間、彼女の肩をトン……と軽く叩き、その場を後にした。
「くっ―――あっはははは!」
「すごいな……! やられたよ、君の勝ちだ!」
次の瞬間、ルシェは目尻に涙まで浮かべて笑い出した。
彼女を咎める様子はなく、ひいひいとなんとか笑いをこらえようとして口を開く。
「店の入り口から見かけた時から、君はもう少し扱いやすい子だと思ってたんだけどね! まさか僕が振り回されるなんて、人は見かけによらないものだなぁ!」
「あぁいいとも、好きなだけ食べるといい!」
「だけど―――」