カオスドラマFor

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ルシェ
笑顔をそのままに、声の温度がわずかに下がる。

「『相席』が任務になるなら、普通に考えると、本来の依頼料以上の報酬が、君の胃袋の中に収まったことになるよね?」
「だって相席するだけだよ?」

そう言って、空になった”うな重”の皿を指先で触れる。

「そして胃袋の収まった食べ物はもう出てこない……だったら、その先に受け取ってしまった報酬分は、僕のために働いてくれないと……」
「って話に、なるよね?」
「―――ま、この話はまた次回にしようか。今日は様子見だけのつもりだったし、あんまり長居してもアレだからね」

そう言いながら席から立ち上がる。
財布を取り出し、卓上に代金を置く。

「また来るからさ、その時、僕とじっくり話し合おうよ」
「君、つまらなくないね。本当に声をかけてよかったよ―――じゃ、またね。コトハちゃん」

コトハの横を通り過ぎる瞬間、彼女の肩をトン……と軽く叩き、その場を後にした。
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ルシェ
「くっ―――あっはははは!」
「すごいな……! やられたよ、君の勝ちだ!」

次の瞬間、ルシェは目尻に涙まで浮かべて笑い出した。
彼女を咎める様子はなく、ひいひいとなんとか笑いをこらえようとして口を開く。

「店の入り口から見かけた時から、君はもう少し扱いやすい子だと思ってたんだけどね! まさか僕が振り回されるなんて、人は見かけによらないものだなぁ!」
「あぁいいとも、好きなだけ食べるといい!」
「だけど―――」
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ルシェ
「―――え」

さすがに予想外だったようで、
豆鉄砲でも食らったような顔でもぐもぐと美味しそうに食事を進めるコトハを見ていた。
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コトハ
「え”。°(°.◜ᯅ◝°)°。」

ルシェが言葉を投げている頃。
既に自身の好む食事に手を付けており、口いっぱいに頬張っていた。
目の前に並べられた食事に感動するとか、許可を得るとか、それ以前の食い意地である。

「ングング……だ、だってぇ~……相席のお誘いをタダで受けるとは思わないじゃないですか~……」
「えと……その……あれ、あれだ。この欠けた月亭では~~~相席も依頼の一つとして受注されるので~~~任務なんですよね、任務~~~(嘘)」

ルシェの悪い笑みにも負けないよう、頑張って練った嘘を付きながらも『勝手に』食事に手を付けていく。

「おいひぃ~♪」
(今日の占いで強気に行けってあったから大丈夫のはず~、世の中味方してくれるはず~)
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ルシェ
「うん、すっごくいい匂いだ……さすがはコトハちゃんのオススメたちだね」

ほかほかと湯気を立てる料理たち。
1人で食べきるには明らかに多いくらいの皿が、コトハとルシェのテーブルに並んでいた。

「ふふっ……にしてもコトハちゃん、食事をしっかり楽しむ準備をしているところ悪いんだけどさ……」
「相席をしてほしいとは言ったけど、僕は一言でも、『キミにご馳走するよ』なんて言ったかな?」

人好きのするような笑顔に影が差し込み、わざとらしく首をかしげた! 悪い男である!
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ルシェ
「コトハちゃん……いい名前だね」
「この”欠けた月亭”に在籍する冒険者で、様々な任務をこなすって……」
「へぇ、すごい! じゃあエースみたいなものじゃないか! そんな人と席を共にできるなんて、僕はついてるなぁ」

彼女の見栄を知ってか知らずか、楽しそうに笑いながら奪ったメニュー表をパタンと閉じた。

「そうだね、そろそろ食事にしよう!」
「やはり先達の言うことは聞いておいて間違いはないからね! アンテロープステーキに、鰻……それに身体が温まりそうなスープでもつけておこうかな」
「すみません! 注文いいですか~?」

\ は~~い! ただいまなのです~~~!! /

手を上げて看板娘を呼ぶと、カウンター側から明るい声が返ってくる。
それから注文を終え、しばらくの時間が過ぎ―――
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コトハ
「え”……な、名前……」
「わ、私は詩葉(コトハ)と言います……」
「一応此処の冒険者として在籍してて……い、色々……もうそれは色々な任務を全部やってます~~~(嘘)」

見栄を張る。
自身や世界を悲観しているのはいつものことだが、それはそれとして、
彼女は自身を小さく見られることを好ましく思っていなかった。
それ故に、初対面であるルシェに対して「欠けた月亭ではエースなんすよ」的オーラを出そうとしていた。

「え、えと……名前もお互い分かったことですし~」
「そろそろお食事したいな~なんて思ったりするんですけれど~」
「あ!ここのアンテロープステーキは格別なんですよ~、調理師の方が凄腕でして……」
「お、オススメは鰻(!?)とか……あ、それは私の食べたいもので……」
「えと、え~、と、とにかくお腹に溜まるものを頼むといいですよ~」
「食べきれなかったら私が処理――いただきますので~」

食事にありつこうと必死に口を回し始める。
既に両手には箸、手元にはフォークと、食事を楽しむ準備はしっかり整っている。
最早、客人をもてなそうなどという考えは微塵も無く、ただ食欲に支配されているかのような
そんな雰囲気を隠すつもりもなかった。
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コトハ
「る、ルシェさんって言うんですね~」
(装い的に後方支援の人かな~……でも依頼も無いのに月亭に来るなんて、珍しい~)
「――あ」

手元にあったメニュー表が、ルシェの元へと奪われてしまう。
何を頼もうか必死に考えていたが、それが出来なくなり

(よ、世の中甘くないんだ~)

謎の悲観が訪れる。
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ルシェ
「―――テーブルまで拭いてくれてありがとね。さて……」

ゆっくりとコトハの対面に座り、自分の胸にトンと手を当てる。

「僕の名前はルシェ。他に自己紹介できることは……そうだな、ただの客だよ」
「今日のところはね」

含みのあるような笑みを浮かべ、コトハが片手に持っているメニュー表をひょいと取り上げて中に目を通す。

「キミはなんて名前なの?」
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???
「うんうん、歓迎してくれて嬉しいね。こっちの席かn―――」

(………………基本信じてないけど、今日だけは神に感謝……)

目の前でいそいそとテーブルを拭いてくれる無防備な少女の後ろ姿に、静かに両手を合わせた―――。
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???
「おっと! あはは良い食いつきっぷりだnゥワアォウ!?!?!」

この青年はわずかに触れた感触を逃しはしなかった!
突如として奇声とともに身体が微動し、目をパチパチと瞬かせた。

(お腹空いてそうな気がしたから、食事を分けるついでに色々聞かせてもらおうと思ったら……まさか大当たりのカードだったかな……!?)
(ていうかすご!!! デカいっていうか長かった!!!)

ブンブン!と握手をしながらそんなことを考えていたのだった。
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コトハ
(ら、ラッキ~だ~。なるべく情報が揃わない内に相席させて、奢ってもらうしかない~)

「え、えと……」

セルフ用に用意されていた布巾を手に取り、テーブルをいそいそと拭き始める。
前屈みになって一生懸命なその姿勢から垣間見える白。
スカートの丈の短さが仇となっている事さえ気にも留めない豪快ささえあった(?)

「ご、ご用意出来ました……こちらにどうぞ……」
「えーっと……」
「……」パクパク

自分の名を名乗ろうとしているが、口を縦に動かすだけでまともに発声が出来ていない。
にも拘わらず、既に席についており、メニュー表を片手に青年へと対面に座るよう誘導していた。
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コトハ
「ささ、こ、こちらへどうぞ~」

最早有無を言わさない勢いで席に案内しはじめた。
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コトハ
「し、食事……!!!」

突如出てきた単語に、眉を曲げて口を「オー!」と開く。
青年が取った距離を縮め、ズイッと接近した。
その興奮した様は傍から見ても分かるものであり、自身の大胆にも膨らんだ胸部装甲の一部が、
目の前の彼に僅かに触れた事も気づかずにいた。

「も、もちろん!!ちょうど私もお腹が空いていたので!!!」

餌に食いついたかのような子犬。
そういわんばかりに興奮した様子を見せ、彼の手を取って数度ブンブン!と縦に振り、即座に離すと背を向ける。
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???
「あ、ごめんごめん! 急に声をかけられて驚いたよね」

コトハのコミュ障ムーブを見て目を丸くしながら一歩だけ距離を取り、安心させようと試みた。

「で~……ええっと、キミ~……に話しかけてるんだけど~……? く、くくっ……」

コトハが懸命に「自分以外に話しかけているのではないか?」と確認する姿を見て、吹き出しそうになるのを口元に手をやってこらえる。
そしてようやく会話が始まり、人好きのするようなにこーっとした笑顔で頷きながら口を開いた。

「なるほどなるほど! まぁなんでも大丈夫だよ(?)”たまたま今日来てみた”って人じゃないならね」
「そしてボクは依頼を出しに来たわけじゃなくて……今日のところは食事をしにきただけかな?」
「一人で静かに食べるのも良いんだけど、良かったら相席してほしいなぁと思ってさ! どうかな、ダメ?」
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コトハ
「あ、あっははぁ……」

最早ただ「にへら」と笑うだけで、青年の問いに対しての返答が中々返ってこない。
ピピピと汗をコミカルに飛ばしながら、左右、はたまた前後を振り向いたりして、話かけられたのが自分である事を確認する。

「……えと……こ、こんばんは~。常連といいますか、スタッフといいますか……」
「……スタッフ?えーっと、依頼遂行者?なんていうんでしょうか~」
「まぁなんでも大丈夫か~(?)えと、ギルドへの依頼とか、ですか?」

たどたどしさ全開ではあるが、青年へと要望を聞こうとする。目は合わない。
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コトハ
「え”……?あ、えと、お客さん……」

(フィリカさん呼ばなきゃ――って、え?時間をくれないかって、私に言ったのかな?)

誰かから集ろうとしていた矢先、見知らぬ青年が目の前で挨拶として最適な笑みを見せている。
隠密系統の出であることや、自身の影の薄さを認識している事から、まさか声を掛けられるとは思っていなかったため

「あ、あ……あ……」

びっくりするぐらいのコミュ障ムーブが炸裂した!
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???
青年の視線は、ふらふらと放浪する少女でピタリと止まる。
軽い笑みを浮かべながらコトハに近寄ってきた。

「や、こんばんは。キミ、ここの常連さん?」
「暇だったらでいいんだけど、良かったら僕に少し時間をくれないかな」
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???
カランカラン……

「ここが欠けた月亭か……」

その時、ドアベルとともに欠けた月亭の扉が開く。
入ってきたのは見慣れない青年。くすんだ頭髪に、金の瞳。
彼は入り口で足を止めたまま、酒場をひとしきり眺め……
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コトハ
「……(`・ω・)(ちょっと普通に歩いてみよ)」

猫背だった姿勢を正し、いわゆる良い姿勢を心がけて歩いてみる。
ただ、目下に佇む二つの影が、歩くたびに振動し、最早視界を妨げており

「……(・ω・`)(床見えないしいいや……)」

結局、内気で弱気な、小動物のような存在感を出しながら、放浪とする
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コトハ
「く、く~……なんでだ~……今日の占いには『強気が行けば運が回ってくる』って書いてあったのに~……」

「世の中絶対おかしいんだ~……」

涙を拭かず、うっ、うっ、と泣きながらトボトボと猫背でギルド内を歩く。

「今日は雑草かな~……煮て食べればなんとかなるけど、でももっとたくさん食べたいし……」

「だ、誰か、頼みやすそうな人とか居ないかな~……」
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手練れの冒険者
「馳走になった、フィリカ。ギガントードの水炊き、英気を養うに最適だった」

泣き喚くコトハに一瞥もくれず、立ち上がりながら受付側に声を投げかけ、装備を手に持つ。

「カリスタ嬢、監督業務の完遂、ご尽力忝い。伴って同行させたシグにも礼をしたいのだが――」

\おぉ、君か。まぁ掛けたまえ/

そうして金髪の装いの女性の元へと装備を鳴らして歩いて行く。
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コトハ
「し、しょんなぁ~˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚」
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手練れの冒険者
「やらん(ペシッ)」

「以前銀差しに頼み込んだ事も耳に入れている」

「人を選ぶ目だけはあるようだが、その手癖の悪さと散財癖は即座にでも直せ」

「あとは実入りの良い依頼にでも手を出す事だな」

「同行ぐらいはしてやろう。その身の振り方を考えろ」

そうして彼女に説教をしている内に、テーブル上の料理を平らげていた。
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コトハ
「そ、そんなこと言ったって~(ノД`)・゜・。」
「も、もう手元にはお金なんて無くて……え、えへへ……あ、あの……お恵みを~……」

そ~っと手を料理へと伸ばす。まるで人の食事に興味を持つ猫の手のよう。
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手練れの冒険者
「……やらんぞ」

コトハ側の手で、ずいっと料理を端に寄せ、彼女から遠ざける。

「早朝に出向いていた採取任務の報酬金があるだろう」
「いつまでも恵みに頼らず、自身の働きで己が腹を満たせ」
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コトハ
「……」

相も変わらず、太々しい程の滞在具合。
『今日は退かないぞ!』といわんばかりの熱気の籠った眼差しで、冒険者の手元の料理を凝視し続けている。
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手練れの冒険者
「……」

コトハが顔だけを乗せたテーブル。その主宰となる人物が、甲冑を鳴らしながらため息をつく。
彼女が狙っているであろう代物、それは食事であり、
彼らが本日完遂させた長期依頼「渡り橋の修繕」における報酬から算出されたもの。

「コトハ」
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コトハ
「……(テーブルに頬を乗せ、何かを狙っているかのように逞しい顔つきで呼吸をしている)」
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名無しさん
――― 欠けた月亭―――
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ミズヒキ
「変わった、変わったお土産かぁ……確かに、定番とかありきたりな物だと面白くはならないわね、しかもトロイメ団ってなんというか、そういう集団だしね。何か考えておこうかな」
顎に手を当てながら中空を見据え、お土産になりそうな物について考え込む素振りを見せる。が、心配するような台詞をの後、元気たっぷりに去って行くユハルへと軽く手を振り返し
「あっ、いや本当に心配はしなくていいから!元気だから私もこいつも、別にそんな困った事も無いし。またね~~」
「……と、で」
こちらに視線を向けるエクトルに対し、大きくため息を吐いて見せ……
「確かに新世界で仕事してた頃程、やかましくて元気が有り余ってる様子には見えないけど……あんたの場合元気無い位で本当に丁度良いから、そのままくらいで丁度良いわ」
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エクトル
「まあ、その努力を否定するつもりは無いけれど……一歩進んだその道の先は夢幻の彼方よりずっと遠い事は分かっているのかしら……そっちのトカゲなら好きにどうぞだけれども」
「でもこのお菓子はちゃんと受け取っておくわ……へえ、餡を挟んだ和風のクッキーといった趣かしら?センスはいいのよねぇ…」
興味深げにお菓子の箱を眺めていたが、去って行くユハルへと気の抜けた手振りを返して見送った後、そっとミズヒキに顔を向け
「……ねえ、私ってそんなに今元気無いのかしら。勿論、少し気落ちしているのは事実ですけれど、まさかあんなに能天気で気の抜けた方にまでそう見られるなんて…」
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ユハル
「あっ、エクトルさんはお菓子お好きですか?良かったです!よっし、好感度アップ!ハーレムの道も一歩から!」ガッツポ
「やった!!ミズヒキさんは色んなとこに行きますからね~、変わったお土産楽しみにしてますよ!せっかくだから、その土地ならではのやつで!」

「……?」
二人してあまり触れられたくなさそうな様子に首を傾げる
「まぁ付き合いの長いお二人ですから、共通する何らかの事情があるってことなんでしょう!ではいったん胸の内に留めておきます!」
うんうん、と頷く

「ではでは、他のみんなにも挨拶してくるので僕はこの辺で失礼します!またお相手お願いしま~す!!」
手をぶんぶんと振りながら走り去っていく
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ミズヒキ
「喧嘩って程でもないから大丈夫、どうせダメージなんか無いしこいつはもう昔っからこんな感じだし。ああ、ごめんなさいね、丁寧にお土産なんて……私も今度何かァ!?」
エクトルに強引に菓子箱を奪われ、驚きと呆れを露わにしながら諦めて菓子箱を譲り
「……今度、西の方に行くから何か持ってくるわね。あちこち出掛ける仕事の割に、団の皆にお土産なんていつも用意してなかったし…あっ、あと”…”は突っ込まないで、本当に。いや、その、のっぴきならない事情と思ってくれていいわ。間違っても書き方の表現の幅が狭すぎるとか思わないで」
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エクトル
「あら?いいじゃない!!一緒くたにされるのは少し気に食わないけれど、こうして私に、と渡してくれるのはポイントが中々高いわ!!お菓子ね、成程……貴方見る目はあるわね、何かと……後でコーヒーと一緒に頂こうかしら」
ぱっ、と表情が明るくなり、半ばひったくる様にユハルからお菓子の箱を強奪。
まじまじと箱の裏等を眺めながら見定めるが、ユハルの言及に対してはばつがわるそうに目を逸らし、
「あ、あのね……そ、そこはメタ的にというか……いや元気よ?少し落ち込む事があるだけで
私はいつも元気で……”…”については色々とふかぁい事情がね…?」
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ユハル
「あっ、お二人とも喧嘩はやめてくださいね!将来僕のハーレムに加わるかもしれない大事な体ですから!」
「あっ、そうだ。はい、これ今回の旅のお土産です!団長たちには別のお土産あげたので、これはお二人で仲良くどうぞ!!」
"きぬの清流"と書かれたお菓子の箱を取り出し、ミズヒキに渡す
「あ、でもなんかお二人とも元気なさそうですけどお菓子食べても大丈夫そうですか?お腹痛いですか?なんか"…"が多いですよ"…"が!」
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ミズヒキ
(こ、こいつ……押し切って来る、価値観が違う……エクトルもこんなんだし私は田舎者だし、そしてここはトロイメ団…………何がスタンダードなのかわからない……ここが狂気のソドム…?逆に私がまともじゃない……??)
「と、とりあえず私はハーレムはお断りの方向で……そっちの女ならどうぞご自由にして構わないけれど、まあ、そういう事で。うん、私がフラフラしてても私の事だけ見てくれるくらいの人じゃないと嫌だし……いやこれもこれでまあまあ酷い気がするわね……まあいいか…‥」

自分で言った台詞の身勝手さに自分で軽く引いた後、木刀を振り回すユハルを見定め……
「う~ん、魔術はともかく剣術は分からないけど……へえ、まあ、そう……うん……」
……なんとも微妙な相槌をうつ
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エクトル
「いったっ…!?肘?肘打ちしました?今……!」
ミズヒキの手をバシン、と…とりあえず一発叩く。そして手を自分の腰の後ろに回し

「まあ見る目だけはあると言って差し上げますが、確かに私は女神に相応しくはありますが……いやこれ平行線ですわね?とにかく、わたくしそんなに安い女ではありませんけれども。異世界転生っていうのも……」
「いや、でも聞いたことがある様な……アレ噂の範囲かと思ったけど"マジ"なのかしら……ま、とにかくその細い腕と弱弱しい剣の振りではまだまだですわね?」
(………いや、しかし…なんとなく腕が立ちそうな雰囲気は感じるのですけれども、この素振りからそんな風にはとても……気のせい…?)
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ユハル
「またまた、何をおっしゃいますか!僕のハーレムは全員がメインヒロイン!全員が僕の女神様!!崇めて奉りますとも!!エクトルさんはそれにふさわしい女性です!!」
内容的に褒めてると言って良いのか微妙な誉め言葉をエクトルに浴びせかける。エクトルの様子と正反対にどこまでも異様に前向きだ
「さぁ~~~……女心は複雑で僕にはよく分かんないですけど?でもまぁそのうちそうなるでしょう!だって僕主人公ですからね!異世界転生ですよ!異世界転生!」
ミズヒキの正論も一切響いた様子無し。どうやらそもそもハーレムと言うものを後ろめたいものだと認識していないようだ?
「それに、僕は本気出したら結構強いんですよ~!剣術でも魔術でも、こっちの故郷じゃ結構知られたもんなんですから!」
木刀をぶんぶん無邪気に振る様子からは、その言葉通りの実力を垣間見ることはできないが……
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ミズヒキ
「あっ、大丈夫、そう、ね………怪我は無さそうで良かった。でももっと気を付けないと行けないわね……そうよね、私の尻尾……重いからね……ごめんなさいね、これに関しては…」

すっ、と尻尾を下ろして頭を下げるが、その後"それはそれとして"と言わんばかりに顔を上げ

「まあ、人をトカゲ呼ばわりしてくるそこのクソ女と違って私は魅力的で賢くて綺麗なのは間違いないから、その誉め言葉はちゃんと受け取らせて頂くけれども……堂々と股かけ宣言して来られても"はい分かりましたお友達"から…とはならないでしょう……?」

少々引いた様な声音で、やっぱり脈の無さげな返事。そしてエクトルに対して軽く肘打ちをかまし、
「いや、だからあんたそれ言い方をもうちょっと……罵倒が入らないだけマシに……えっマシになってこれ……?しかも急にヘラらないでよ……面倒くさいわね……」
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エクトル
「どうやら?認識の所からまず間違っているようですわね…………だって主人公は、このわたくしなのですからね……!」

ブロックした手を離すなり、突然髪をかき上げ自慢の角を撫でる様なジェスチャーを行って見せ、更に輝くドヤ顔へと顔面を変形。さらに口を開き……

「まあ?今は色々あって"溜め"ですからこうやって言い寄られたりみすぼらしい事を……していますけれど…………ゆくゆくは……」

「ゆくゆくはどうしよう………」
少々悲惨な落ちぶれっぷりと未来への悲観に声音と視線がどんどん下方へと落ちていき、挙句の果てに口から出て来たのは
「でもハーレムはその他大勢になってしまうから嫌ですわ……前提として私を立てて崇めて持ち上げてくれる方で無いと論外ですわ……しかも弱いし……」
そんな、余計な一言の付いた脈の無さげな一言であった。
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ユハル
「うぅ~~~」
ブロックされて腕をじたばたさせる

「もちろん!だって僕主人公ですから!!」
屈託のない何一つ疑っていない笑顔で答える
「ミズヒキさんもエクトルさんもとっても素敵な女性なので、むしろ僕しか釣り合わないまであります!!だって僕主人公ですからね!!」
にぱぁ~~~っと華やぐような笑顔のまま自分を指差す
「なのでぜひハーレムに!!絶対後悔させません!!幸せにします!!いえ、なります!!確定的に!!だって主人公ですから!!」
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エクトル
「う、う~ん、確かに、見た所骨が折れたり内臓が破れたりという風には見えませんわね……脆弱にしか見えないお身体にしては、凄く、お元気の様で……」
平然と立ち上がるユハルの身体を検分する様に眺めながら、何かを察してミズヒキをそっと真横へとずらして待ち構え……

「はいストップ、ストップですわ。」
両手を伸ばし、抱き着いて来るユハルの両肩を押す様にブロックを敢行。そして少しの逡巡の後口を開き…
「今、そこのトカゲはともかくとして、この私を値踏みしましたわね???そのリアクションの軽さと体重の軽さと同じくらいのその軽薄さで、この私と釣り合うとでも???」
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ミズヒキ
「いやリアクションも軽っ……!?は、派手に吹っ飛んで……たけど、案外、大丈夫……?その見事な一撃って誉め言葉にも喜ぶべきか分からない…!!」
最早どう反応すればいいのかわからない、そんな困惑と驚愕を顔に出しながらそっと自分の尻尾に手を添え、エクトルの方に行くユハルと彼女を交互に見て
「あー、まあ、うん……そう……」
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ユハル
「────いやぁ~さすがミズヒキさん!お見事な一撃、ますます惚れました!」
「あ、お二人ともご心配ありがとうございます。ご迷惑おかけしまして~」
ボロボロの身体ですっくと立ちあがる。確かにボロボロなはずだが てへっ☆ くらいのリアクションだ……
「そっかぁ~まだ駄目かぁ、やっぱりふらふら旅に出てるからあんまり好感度が上がらないのかな?ミズヒキさんがまだ駄目なら……」
ぶつぶつ言いながらミズヒキとエクトルを交互に見る
「あぁ~やっぱり痛いっ! エクトルさんっ、介抱してくださ~い♪」
わざとらしく言いながらてててーっとエクトルに抱き着きに行く
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エクトル
「え?いや…………軽っ………」
ミズヒキの(意図しない)尻尾攻撃の破壊力はある程度想像していたものの、生まれつきのフィジカル強者であるエクトルにとってはその被害は完全に予想外だった様で、すっかり呆気に取られていたが……

「あっ、いや……そう!そうね!いや人呼ぶ前にとりあえず様子を……お、折れてますか?生きてますか……?」
ミズヒキの後ろをついていくように、恐る恐るユハルの様子を伺っている
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ミズヒキ
「あっ、ごめ………えっ、そんな、そんなに!?確かに重いかもしれないけど、うっそぉ!?ちょっ、大丈夫!?」

想定外の大惨事に思わず目を見開き、派手に吹き飛んだユハルへと駆け寄る。
その尾が尻から常に伸びているが故の、質量への無自覚さが生んだ悲劇へと。

「いや、凄い音したし、感触が随分軽かったけれど……えっ、ちょっ、エクトル!!人呼んで!!!」
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ユハル
────太……! 長… 避…… 無理!! 受け止める 無事で!? 出来る!?

           否                死

────メギョァッ!!!
「ぐほぉへぇぇぇええええええええええっ!?!?!?」
ミズヒキの尻尾が直撃し、ユハルの胴体がまるで骨などないかのように折れ曲がり吹っ飛んでいく
バキッ!! ドゴッ!! ガスッ!! メキィッ!!   シュゥゥウウ……
周囲の物を巻き込みながら吹っ飛び転がっていき、壁にぶつかって止まる
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エクトル
「ふむ、成程確かに火が強かった気がしますわね……普通に調整できますのねこれ、小さくて簡便に見えるけれど、意外と機能的な……あっ」

「あらごきげんようユハルさん!しかしハーレムと言うのはわたくし余り好みではなくてですね、ですがその意気は嫌いではありま……あっ、ちょっ」

座ったままの体勢。ブン回るミズヒキの尻尾が目に入るが、最早何も出来ず……そっとポットだけを持ち上げる様に回収して
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ミズヒキ
「だぁからそんな適当に……っていうかこんな所でっ……あっあっ火強ッ!?湯沸かすだけなんだからちょっと抑えなさいよ!ポットから火がはみ出してるじゃないあーあー……!」

見るに堪えなかったのか、エクトルとバーナーの間に強引に割り込んでは火を調節し……

「これ位で良いのよ火の強さは……まあ、いいや…とりあえず点検はOK……ガス管は後で買い足せばいいかぁ……火も止めたいけど、仕方ない……これくらいなら沸かsうっわっ!!来た!!!っちょっ、あぶなっ!!!」

突っこんで来るユハルの足音と絶叫が耳に入り、瞬間的に身構える。
しかし、『火の用心』という基本にして最重要の警句が骨身に沁みているが故に、即座にバーナーの火を消し、振り返ってユハルを避けようとした、その刹那————

―――――ブ ン ッ !!

ミズヒキの自慢でもある、鱗に覆われた尻尾……太く、長く、重い"それ"が、ミズヒキ本体の円運動に合わせ、遠心力で鞭の様に"しなり"、ユハルの身体に向け、意図せず横薙ぎに叩き付けられる!
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