カオスドラマFor

または

ここに画像をドラッグ&ドロップ
またはクリックして選択

icon
イル(カリスタ)
(いやまて……彼は今、このウォッカを呑んで見せた。ロックで)
(勿論飲ませたのは私だ。忘れて欲しいからな)
(ただそれはそれとして、彼の気概は何処から来た?)
(飲んでみせてからの……奢る発言……それも、シグから……)
(……まさか……こいつ……)
(私が飲めないとでも思っているのか???????)
icon
イル(カリスタ)
(よしよし、いい飲みっぷりだシグ。お前がエールをじゃぶじゃぶ飲んでいるのはこちとらよく見ている)
(ウォッカ……それも度数90%を超えるもはや飲み物を超えた液体。お前程の酒強ならいけるだろうなと踏んでいた)
(でもそれじゃあ困んだYO!頼む、潰れてくれ!!!)

「わ~すご~い。シグさんはこんなに強いお酒も飲めるんですね~(棒)」
「それじゃあもう一杯――」

そうして新しいグラスに酒を注ぎ、シグへと渡そうとした時。
彼から酒を奢る発言があり

「ゔえ゙!゙?゙」

上擦った声で目を見開く。

「い、いや~、奢るとは言えども、私はキャストでして――」
icon
シグ
「酒豪といっても、まぁ人並みではあるけどな」

(思いっきし棒読みでテキトーに褒めんな!!)
(ていうか、そのふざけた恰好はなんだ?)
(カリスタだけじゃない、バニーメニーバーとか言ったか……ここの従業員ども全員だ)
(目のやり場に困るし、変な気を起こす客だって……)
(いや、確かアイツが『一時従業員招集』の依頼が欠けた月亭に来たと言っていた)
(今の状況から考えて、その招集に応じたのがカリスタで……依頼先を月亭に選んだということは、この店もある程度の信頼はして良さそうか)

そんなことをぼんやり考えていると、目の前のカウンターで飲み物を作ったイルからウォッカを差し出される。

「ああ、サンキュ…………ありがとう」

何に対してのお礼なのか。
胸元を圧迫しながらドリンクを提供するイルからグラスを受け取り、そのまま口に含むが……

「……っ!」

かぁっと熱が喉に走る。

(こいつ……!)

眉間にシワを寄せ、グラスを傾けたまま動きが止まる。

(割材で割らず、原液のまま氷だけでいただく飲み方は確かにある)
(だがそれはゆっくりとチビチビやる飲み方だ!!!)
(あろうことかコイツは『ぐいーっと』とか言い出しやがった!)
(だがここでそれを指摘してゆっくり飲み始めたら……)
(……舐められる……!!)(❓️)
(ダメだ。それだけはなんとしても避けなければならない!)

ゴッゴッゴッ(そのままぐーっと飲み干してしまう)

「―――っぷはぁ……!あー……”””キク”””ぜ……」
「イル、この店ってキャストにも酒を奢れるのか?」
「もし奢れるんだったら……お前もぜひ俺のと同じ酒を飲んでくれよ^^おいしいぜ^^(スゴゴゴゴ」
icon
イル(カリスタ)
「酒豪さんなんですねぇ~、すご~い(棒)」
「すぐお持ちしますね~(棒)」

最早なりふり構わず。
存在しないキャストとして立ち振る舞い、カリスタとしての威厳をかなぐり捨ててシグに視線を置く。
バーカウンターへと入ると、カウンター越しにシグと対面する形となる。

「では、こちらのウォッカで乾杯と行きましょうか」

透き通るグラスに、冷気を纏った氷を回しながら入れる。
カランカランと心地よい音を奏でるグラスを止める。
隙間に度数の強い酒を注ぎこみ、一切割る事の無いウォッカをシグへと差し出した。

「ぐいーっと飲んでくださいね」
「ここのウォッカは格別なんですよ」

差し出す際、身体を伸ばしたが故。
自身の恰好があられもないものだというのに、思考が定まらないためか、
遠慮なく谷間をカウンターに押し付ける事となる。
縦の身体も短く、手も短いため、
彼に差し出したグラスの視界の隅で、その柔い身体は忙しなく揺れていた。
icon
イル(カリスタ)
(そ、そうだ!酒、酒だ!)
(酒が齎す記憶への障害は都市でもケイオスでも変わらない)
(ありえんぐらい度数のキツイものを飲ませて、脳からダメージを与えれば……)
(シグは『此処に来た事』も忘れるし、『私に遭った』ことも忘れるかもしれない)
(いやてかもうそれしかないっしょ!ワンチャンかけるしかないべ!!!!)
(つーかこれワンチャン気づいてないべ!!!!!イルちゃんだと思ってる!!!!!)
(っぶね~~~~!!!)

都合の良いように物事を解釈した上で、シグが酒で忘れてくれるなどという楽観的思考に走る。
icon
イル(カリスタ)
「シグさんというんですねぇ~」
「とってもつよそ~ですねぇ~」

謎返答。
互いに視線を切り合っているが故、
彼女はシグに見られているものだと思い常に身体を隠す。
彼の声色もまた、気まずさを表している事が良く分かる。
カリスタはそのなんとも吹っ切れない現状に、ただただ羞恥が重なるだけであった。
そんな中……

\酔いたい気分だ/

「……!!」
icon
シグ
「……シグと呼んでくれ」

恥ずかしがって恐ろしいくらいの動揺を見せるイルを気の毒に思い、視線を完全に切ってカウンター正面へ向かって座り直す。
かくいうシグも、彼女を見ていたたまれない気持ちになり、一見して妖しげな店で知り合いらしき人物が働いている現場に居合わせてしまい非常に気まずい様子。
額に大量の汗を浮かべており、彼女に促されるままドリンクメニューに視線を落としている。
戦場ですらここまで露骨に汗をかくことはない……とシグは思った。

(何が何でも別人として振る舞うつもりのようだが、そんなことをしても無駄だ)
(こいつはカリスタ)
(俺を前にした瞬間の動揺や迷走っぷりも、カリスタと判ずる材料にはなるが、一番は声だ)
(王都で刻まれた数々の印の中に、聴力を強化する効果があった)
(遠方の足音や魔物や獣の唸り声、閉所では隣の部屋の息遣いまで聞き分けられる)
(もっとも、今やそいつも封印されてしまったが……なんとなく身体に染み付いているというか、”勘”が残っている)
(そも、カリスタの声を俺が聞き違えるはずもない)

「たまにはゆっくり飲んだっていいかと思ってたのによ……」
「あ~……イ、イル。とにかく強い酒をくれ。酔いたい気分だ」
icon
イル(カリスタ)
「……ッスー……えっっと……」
「い、イルちゃんで……ッスー……」

どう演じればいいのかが分からない。
凛として接客をすべきなのか、はたまた完全に別人になりきるべきなのか。
曖昧な判断が続く中、シグという知り合いに自身の羞恥的な姿を見られ、
誤魔化し方を模索している。

「お、お客様は、なんとおっしゃるのでしょうか~」
「お、おほほ、おほほほほほ」

THE☆迷走

(く、クソ……何故だ。今まで普通に振舞えたではないか)
(なのに何故だシグ。何故お前が此処にいるんだ!よりによってお前が!)
(でもすぐに帰すと拙い。今日はオーナーが在住しているから売上に対して血眼になっている)
(な、なんとか……なんとかあしらって帰ってもらうしか……)
(てか気づくな。頼む、気づかないでくれ。勘違いだと思ってくれ。頼む、シグ。頼む)

「お、お客様~、何をお飲みになられますかぁ~?」

明らかにキャラ付けであることが分かる程の猫なで声。
一生合わない視線。
そのどれをとってしても、彼女が『シグにはバレたくない』という雰囲気を醸し出していた。
それでも、彼の腰かけるカウンターの横まで足を運び、
カウンターに提示してあるドリンクメニューを指さした。
icon
イル(カリスタ)
「ち、ちが――こ、これは――」

彼女を知るものであれば恐ろしい程の動揺具合。
思わず胸元や鼠径部を隠すように手で覆い、目を大きく見開きながらもグルグルと回す。
どう身体を動かせばいいのか分からないのか、その小柄な身体は左右に揺れながら行き場を喪っていた。

(お、落ち着け、落ち着けカリスタ。まだだ。まだなんとかなる)
(そう!私は今はイル!イルなんだ!)
(つーかなんで居んだよコイツはーーーー!!!!!!)
(こういう店に絶対興味無いと思ったのに!!悟らせないように立ち回っていたか?だとしたら上手いなホント!)
(って、違う!今は違うんだ!そんなことじゃない!)
(保たなくては!縋らなくてはならない、僅かでも『あぁ、人違いか』となる可能性が残っているなら、手繰り寄せなくてはならない!)
(私はイル、イルなんだ!!!)
icon
イル(カリスタ)
「――――――――――――」
「――――――――――――」
「――――――――――――」
「―――――――――ッァ!?!?」
icon
シグ
「―――…… …… ……」

片目を開けた彼女と視線が合う。
瞬間、ピシッと一瞬で凍りつくような音を鳴らして動きが固まり、目が彼女の衣装に落ちかけて……なんとか耐え、驚愕と困惑が入り混じった表情でカリスタ―――イルの顔を凝視してしまった。

「…………」
(ふざけんな……あいつが押し付けやがったせいだ。あのヘルメット野郎、次に月亭でツラ見せたらぶん殴ってやる)
「あー……」
「……イル、と呼べばいいんだな?」

苦虫を噛み潰すような声で、わずかにイルから視線を逸らしながら確認を求めた。
icon
イル(カリスタ)
「いらっしゃいませ、お客様」

カウンター席の人物へと接近していく。
優雅な雰囲気を保つ為に、目を閉じながら、何処か神秘的な立ち振る舞いを演出する。
妖艶にもくねらせた歩き方で、抜群に仕上がったアンバランスボディを見せつけながらも、
だが触れると危ない、そんな強さも兼ね備えたような威厳を含んだ声色を出し、
目当ての貨客に、横から声を掛けた。

「バニーメニーバーへようこそ。担当させていただきます、イルともうしm――」

そうして、ウインクしているかのように片目をあけてしまった。
icon
イル(カリスタ)
「はい……」

スタッフルームで休憩(?)していたカリスタ。
イルという源氏名で呼ばれた彼女は、聞こえないようにため息を一つ付き、目を細める。
微塵も感じさせないやる気を表すように、ソファで丸めていた身体。
立ち上がる際、身体を解すように伸びをし、衣装の張り付きを確認しながら、密着している縁を指で沿っていく。
零れる心配がない事を確認し、全身鏡と向き合って身だしなみを確認。

「……行くか……」

ペチッ!と両頬を叩く。気合いの入魂。
そうして表へと出て行く。
バーカウンターの照明は薄暗い。人の輪郭こそ分かるが、それがスタッフなのか客なのかさえ危うい程に。
だが彼女は、そんな識別しづらい環境下でも、新規の客を見分ける事が出来た。

(あぁ、あのお客様か)
(さぁ、いつも通り、冷静沈着な私。恥ずかしがることなく、優雅にさえ思えるよう、立ち振る舞う)
(俗な恰好をしていても尚、気品を感じさせる威厳……よし。大丈夫だ。行ける)
(行くぞ、頑張るぞ、カリスターーいや、イル!!)
icon
バニーガール
「いらっしゃいませ~♪」
「当店のご利用は初めてでいらっしゃいますね」
「ご新規様ご案内しま~す!」

入るや否や、スタッフが案内に入る。
クラブルームのような薄暗い空間に、ポールダンスの為の広場、ジャズロックを奏でる台場。
色気づいたソファや、透明に隔たれた遊び場など、まさしく『大人』の店のような空間。
その遊び場の中でも、モダンで落ち着いた空間であるカウンターへと、ある人物を招いた。

「ただいまキャストを当てさせていただきますので、こちらの席で少々お待ちくださいませ♪」

そうしてバーカウンターの裏手へと回り、スタッフルームへと駆けて行った。

「イルちゃ~ん!ご新規様だよ~!接客よろしく~!」
icon
名無しさん
― バニーメニーバー ―
icon
名無しさん
『バニーメニーバー特別招待券』と書かれたチケット。
桃や紫の色彩、ハートや、やや如何わしい擬音が装飾された色欲めいたチケット。
それを押し付けるや否や、冒険者はテーブルからものっそい勢いで離れ


ピューンッ!

と風を残して去って行った。
icon
手練れの冒険者
「慰労に纏わる選択は多岐に渡る。私にとっては其れは食事であり、睡眠である」
「直近、疲弊を司る魔術師との対峙において、私の欲求は大きく乱されてな」
「城下町の客引きの声に耳を傾けるまでに均衡を崩された」
「水商売を本業とした路地裏の色町。まんまと足を踏み入れてしまった……」
「だがその際、違法賭博の現場に鉢合わせ、正気を取り戻した」
「轟に馳せた叙事詩を思い出し、精神を安定させたうえで、緊急クエストを執行したのだ」
「私娼街という風紀統制の無法地帯下に於ける賭博。葉を隠すのであれば森とはよく言ったもの」
「その組織を突き出した所、色町を仕切る商人から施しを受けた」

樽ジョッキをテーブルに叩きつけ、懐のポーチから一枚のチケットを取り出す。

「恩を返すは酒池肉林への道、と」
「……要らんと言ったのだがな……」
「無理にでも渡してくる始末。受け取らねばギルドの名を都合よく広めるとも」
「あの手の商人に交渉をするには、私では力不足故……」
「私がこれをどう扱おうが構わんのだろうが、『消費』することを強く押し付けてきた」
「故、お前にコレを『消費』して欲しい」
「何、このギルドでも『一時従業員招集』の依頼が来た場所だ」
「俗な娯楽施設だが、お前もたまにはハメを外したらどうだろうか」
「と、いう訳で」
「よろしく頼んだ。俺は確かに渡したからな」
「じゃ」
icon
名無しさん
― 欠けた月亭 ―
icon
計測器
「カチカチカチカチ😭😭😭」

忘れ去られていた。
icon
鳴り響く音
カ……カチ……カチカチカチ…………カチカチカチカチカチ
icon
店員(普通)
「何????」
「てか補導の時間だろお前、大丈夫かよ」

そうして様子のおかしいアルバイトと共に1階のクレーンゲーム広場にまで移動する。
日付が変わっていないとは言えど夜中。薄暗い店内作業をせっせと終わらせていく。

カ……カ……チ……チチ……

「てかなんか聞こえる気がするけど……まぁいいか!さっさと上がろう」

そうして店は閉まってしまう。
あるクレーンゲームから音は鳴り響いたまま。
icon
店員(おかしい)
「それはアンキモですね」
icon
店員(普通)
静まり返った2階での作業。数人がいそいそと店内で閉店作業をしている。

「夕方ぐらいの入り口でさ、女の名前叫んでたやつ居て」
「珍しくもなんともない話だけど、クソイケメンでさ」
「いやー、あれはドラマチックね。俺もあーして運命の王子様的な言動取りてぇわ」
icon
名無しさん
―PM22:00 クローズ作業中―
icon
フィン
「じゃ、さっそくお願いしちゃう!」

ゲームセンターの空間を眩く照らすネオンの中で、フィンは改めて星型のぬいぐるみを片腕にきゅっと抱き、一歩前に進んで半身で彼に振り返った。

「”もっとあそぼ”! クレーンゲームだけじゃなくて、他にも遊びたいゲームいっぱいあるの!」
「エアホッケーとか、ガンシューとか……自撮りスタジオもやりたいし―――」
「覚悟してよね、星の王子さま!」

そうしてネオンの遊び場へと繰り出す2人。
フィンはメーベルに救われた小さな『星詠み』を大事そうに抱えたまま、楽しげに彼の手を引いていったのだった。
icon
フィン
「―――神より頼れる男なんだもんね?」

頬に触れる手を握ったまま前のめりの姿勢になり、小さく首を傾けて上目遣いにメーベルを覗き込んだ。
icon
フィン
「!」
「またほっぺた触ってる~。フィンちゃんのもちもちほっぺ、そんなに気に入っちゃった?」

からかうように笑ってみせるが、そこから逃げるような素振りはなく……

「……ま、とか言いながら私こそメーベルさんの手、けっこうアリなんだけどね~」
「……っ♪」

猫が甘えるように目を細め、彼の手のひらをより近くで感じたくて自ら頬をすりつける。

「でもメーベルさん、今のは失言だったかもよ?」

頬に触れる手の中から目をピタリと合わせ、彼の手に自分の手を重ねながら小悪魔的な悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「つまり、私はお礼さえすればメーベルさんをいくらでも自由にできる券を手に入れたも同然ってワケよ!」
「願えば応えてくれるんでしょ?」
「今回は”たすけて”で……じゃあ、”あそぼ”でも、”ひま~”でも!」
icon
メーベル
「たすけて、と願ったんだろ。応えるとも」
「動機や場面がどうであれ、俺を頼ろうと思ってくれたんだ」
「いつでも頼ってくれ」
「なんていったって、俺は神よりも頼れる男だからな」    <カチカチʅ(´◡◝)ʃ.
 
可愛らしく回る彼女を眺め、その髪の揺れや表情を目で追う。
そうして最後に目が合うと、再びはにかんで目を細める。

「元『星遣い』だろ」
「携えておけ。たかがぬいぐるみだが、仮にも星の形をしているんだ」
「その星が、俺から君に送る『星詠み(運命)』と思ってくれれば」
「受け取るのが道理――う~ん、嬉しいか」
「嬉しい、だな」

フィンの持つぬいぐるみに手を添え、先端の角を僅かに摘まむ。
フッと笑いつつも、そうして無事を確認した時のように頬へと手を添えた。

「まぁなんだ、勝手にお礼として受け取るが」
「君の頬は柔い。ちょっと堪能させてくれよ」
icon
メーベル
(子供のように燥いでくれるな。たかがぬいぐるみを一つ取っただけだというのにこの喜びよう)
(計測器、お前は星位同期機能を基として、今日この時を運命の流動に取り入れるべきではないと主張したが)
(何、一人の女性が俺の成したなんてことのない一面を見てこれだけ楽し気にしてくれているんだ)
(運命に抗うのも、いいものだと思わないか)

フィンの喜ぶ動作が、腕を通して伝播する。
大きく反応を見せている訳では無いが、その感触にやや困ったような笑みを浮かべて、
彼女の喜ぶ様を眺めた。

「何事も初めは上手くいかないものさ」
「それでも、隣に夜空の切れ端が浮かんでいた」
「その夜空に星を輝かせる為にこの些細な仕組みを理解し、実行する事ぐらい」
「なんてことのない動作だったよ」
「……あぁ、悪い癖だ。またシャルルに煽られる、言い直さなくては……」
「要は君の為にカッコつけたい。君がお願いしたから、俺が願い星になった」
「なら、その輝きは俺と言う実数値の限界を超えてでも」
「君の願いを叶えるべく――」      >カチカチカチカチ!!!!
「今度は排水溝にでもぶち込んでおくか」
icon
フィン
\ボトンッ/

「きゃーーーーーっ!! 取れたぁぁ~~~~っ!!!」

興奮のあまり握りしめたメーベルの袖をぎゅっと胸元に抱き寄せ、わーっ!と元気よく飛び跳ねてはしゃぐ!

「えっ、ねえねえホントにすごいんだけどっ!!」
「逆になんでさっきあんな下手っぴだったの!? 星の導きってすっげーのね~~~……っ!!」

ぬいぐるみを差し出され、メーベルから一歩離れてそれを両手で受け取る。

「……へへ、良かったねぇ。星の王子さまに助けてもらえて~」
「メーベルさんってばホントに有言実行する人だよね。”たすけて”って言ったら、助けてくれた」
「……ありがと、メーベルさん」
「~~っ……♪」

星型の先端?頭?をポンポンと撫でながら、その場でご機嫌にくるくると回り、メーベルに向いてピタッと止まる

「……てか! 差し出されたからなんとなく貰っちゃった感じになってるけどさ」
「メーベルさんはいいの? 獲ったのメーベルさんなのに」
icon
フィン
「滑り止め? え、そう……なの?」
「でもでもメーベルさん、あの星型マスコットのぬいぐるみのどこに、引っかけるなんて―――」
「……本気!?」

と、メーベルが操作するアームの真下を見て察する。
それこそ文字通り、針の穴に糸を通すような芸当。

「え、え、えっ」
「できたらすごい、できたらすごいっ、できたらすごいっ……!!」

筐体を食い入るように見ながら、メーベルの服の袖をぎゅっと握る
メーベルがボタンから手を離し、ぬいぐるみに近づいていくアーム。
その”芸当”が1秒ごとに現実味を帯びていき―――
icon
フィン
「んっ……!><」

ぽんっと頭に置かれた手にきゅっと目をつぶり、心地良いような恥ずかしいような相反する感情が渦巻いた。
icon
メーベル
「そもそもこのアームは滑り止めが付いていない。持ち上げたところで移動中にずり落ちるのが目に見えている」
「なら、持ち上げる、ではなく、引っかければいい」

横移動、対象としたぬいぐるみとの軸が完璧に合わさった位置。
そして縦移動。星の中心ではなく、やや手前で、ぬいぐるみの角。それもタグのようなものが付いている位置にまで調整する。

「もっとも、此処まで出来たとしても、運命が絡む」
「手元にあの馬鹿(計測器)があれば、運命流量に従った操作も出来たであろうが」
「何、隣に夜空の切れ端が浮かんでいるんだ。その感覚がままに遊ぶことが出来れば」
「きっと運命も応えてくれるだろう」

そうしてアームが動く。
ボタンから手を離し、後は行末を見守るだけ。
そして一切の危なげも無く、それも呆気なくぬいぐるみはアームに引っかかり

ボトンッ

景品口に誘われた。

「五芒星の形をしているのは納得いかんが、それもまた良し」
「星とは本来、マジどうしようもないぐらい汚い形をしているんだが……」
「いや、無粋だったか。可愛い見た目のぬいぐるみだ。助けられてよかった」

景品口からぬいぐるみを取り出し、フィンへとそっと差し出す。
icon
メーベル
「ハハハ、なるほど。動かし方は直感的だが、奥行きに関してはセンスが問われるな」
「フィン、今のは惜しかった。恐らくだが、このデフォルメされた角っこの重力が悪さをしたんだろう」

隣で燥ぐフィン。
その動作に道化としての側面ではなく、少女としての声色を感じたのか、
怒る彼女を見て純に微笑む。

「だが、君のお陰で星の導きが完成した。少し見ていてくれ」

ポンッと彼女の頭に手を一度だけ置き、筐体のボタンに手を添える。
icon
フィン
そして何事もなかったかのように、フィンが示した星型のぬいぐるみが囚われているクレーンゲームに向き合うメーベル。
彼のすぐ側にぴったりと沿うような場所。互いの肩が触れ合うようなところに位置取り、動くクレーンを見て表情を緩めた。

「あ、やっぱメーベルさんってあんまこういうとこ来ないって感じだよね?」
「なんとな~くそう思ったんだよね~。だから今日は、星の王子さまにぜひとも庶民の遊興も楽しんでもらおうと思いまして」
「ふふっ……♪」

やや芝居がかったような言い方をし、メーベルが動かすぎこちないクレーンを見て口元に手を添えて笑う。

「あのねメーベルさん、ちょっと手の力抜いてくれる?」

そう言って筐体のボタンにかかった彼の手に自分の手を重ねた。

「こーやってここまで押して~……そんでもって隣のボタンをこれくらい!」

メーベルの手の上から操作を代行し、いい感じの位置までクレーンが動いた。

「よしっ! あとは取れるかどうか……! お願いお願いお願い―――」
「―――ぎゃあ~~~!!!😭😭😭」

クレーンは星型のぬいぐるみを掴むが―――ぽろりと落ちてしまう。

「もぉ~~~っ!!なんで取れないの!?意味わかんない! 今の見たでしょメーベルさんっ、ぜっっったい惜しかったのに~~……っ!!」

ぷんすこと怒りながら、怒りの発露かその場で身をよじるように地団駄を踏む。
肩が触れ合うほど近いため、黒いリボンでくくった白髪の房やらその重量感を誇るようにピンと張った胸元が時折ぶつかるが、本人はそれどころではないらしく気にしてないようだった。
icon
フィン
(ん、手……っ)

頬に添えられていた手が離れていくことに名残惜しそうにし、細めていた目を開いて彼の手の行く先を目で追い……

「……ん……?(計測器くん?)」

\ガッシャアアアアアーーーンッ!!!!/

「へぁ!??!?! 計測器くーーーーーん!!!!(汗汗汗)」
「な、なんか初めてダイナーで会ったときよりも2人(1人と1個)の仲悪くなってない!?!?!」
icon
メーベル
「星型のぬいぐるみか……確かに、助け甲斐のある愛らしい見た目をしている」
「どれ、姫君が助けを求めているんだ。最善を尽くすさ」

                                    >カチカチカチカチ!!!!

「この手の遊具……そもそも場所か。喧騒に塗れた遊びに身を投じるのも久々だ」
「まずはこれか」

コインを投入して、クレーンを動かしていく。
ガタガタとアームの根本を揺らす様は、明らかにゲームに慣れていない世離れしたような腕前であり、
誰から見ても『へたくそ』に見える有様であった。

「難しいな。アームの位置が明後日の方向に行ったぞ……」
「これは星相の調べよりも困難だな。黄道軸に聳えた鉄塔でさえ、風邪を引いた犬でも見付けられるというのに」
「もう一回……」

そうして不慣れながらも、クレーンゲームに熱中し始める。
何処か童心めいた、純粋に楽しんでいる様子は、
筐体の向こう側のぬいぐるみを取ろうと必死になるゲーム好きの男性そのものであった。
icon
メーベル
「……?あぁ……何を謝っているのかと思えば……」
「安心してほしい。俺は決して憤りなど感じてはいないし、其れは決して――」

カチカチ(ꐦ°᷄д°᷅)

彼女に添えていた手を離し、計測器を手に取る。
フィンが指示した筐体の、その横にあるクレーンゲームの中に

ガッシャアアアアアーーーンッ!!!!

計測器をぶち込んで、お菓子の山の中に沈めた。


カチカチ!!!😭😭😭
icon
フィン
(手……おっきいな……)

頬に添えられた手にあの日の温もり、あの日の優しさを思い出して目を細める。

「……あ、あのね? なんであんなメッセ送ろうと思ったかっていうと……」
「ひ、暇すぎてさ~……思いついちゃって。思いついちゃったらもう、やりたくてしょうがなくなっちゃって……((」
「でもね!”たすけて”のところはちょっとホントだから……!」
「見てこの星型マスコットのぬいぐるみ! メーベルさんにはぜひコヤツを助けてほしいの!」

フィンが隠れていた筐体に指を差すと、星型のマスコットがころんと転がっていた。
ようは、クレーンゲームでぬいぐるみを取るの手伝って! ということらしかった。
icon
フィン
「~~~……っ」

頬に手を添えられながらこちらを覗き込んでくる瞳から逃げるように、気まずそうに視線を左右に泳がせる。

「……うん、ない。ホントのホントに、そういう怪我とか、ないから……」
「その……ごめんなさい」

しおらしく観念したように謝罪を口にした。
自分の軽はずみな悪戯がここまでメーベルを困らせたのだと知り、少しづく声のボリュームが落ちていった。
icon
メーベル
「……なんだ……良かったよ」

安堵に加えて、彼女もまた、想像と異なる自身の言動に何処か気まずさを示している事を察知した。
首元を抑え、やれやれポーズを取った後、可愛らしく顔を出すフィンの元へと歩んだ。

「すまない、君が描いた星の導きとは異なる旋律を奏でてしまったかな」
「最早聞くのも馬鹿らしいことかもしれないが、特になんもないんだよな……?」

ふぅ、と呼吸を整え、フィンの頬に手を添える。
嘗て残っていた痕が無いかを確認しながらその瞳を覗き込み、彼女の嘘が本当に嘘であったかを念のため確認する作業を行った。
icon
メーベル
「――!無事――」

クレーンゲームの筐体越し。
喧騒に塗れた空間でも、その萎縮した声色を捉え、視線を向ける。
ただ、其処に映し出されていた星座は、自身の想像していた顛末とは異なり

「……」
icon
フィン
「……め、メーベルさ~ん……こっち……」

視線は泳ぎまくっており、非常に気まずそうな表情だった。
icon
フィン
(やっっっっっっっっば~~~~~~~……)

一方その頃……メーベルにメッセージを送信したフィンはというと、クレーンゲームの筐体の陰で縮こまっていた。

(め、めちゃくちゃガチで心配してくれてない……?)
(いやまぁ、ちょっとは心配して来てくれるかな~♪と思ってアレ送信したんだけど……ひっ!!)(店内に響いた『フィン!何処だ!』の声にびくっと肩を跳ねさせた)
(ふぁ~~~ヤバい……!無理、いま普通に出ていくとかガチで無理……!!)
(だって、いつもみたいにキザ~な感じで来ると思うじゃん!本気で心配されるとは思わないじゃん~~~……!!><。)
(うぅ…………でも、このままじっとしててもメーベルさんを困らせるだけだし……)
(……くぅ……お、怒られる、かな……怒られるよね……んじゃ、怒られますかット……へへ……)

そう胸の中で決心し、クレーンゲームの筐体からそろり……と顔をだしてメーベルの視界に映り込んだ。
icon
メーベル
騒めく街中。其処に佇むネオンに輝く遊び場。
その入り口を前にして、七色に点滅を繰り返す看板を見上げつつ、手元の端末に浮かび上がる写真と照り合わせる。

「写し絵が示すはこの座標」
「スターギアの開放を視野に入れる。入り次第フィンを見付けるぞ」

カチカチ。

計測器が鳴り響くが、その音を無視してゲームセンターの中へと早足で入店する。
街中とは異なる、電子音が散りばめられた異空間で、耳を痛めながら目を細めて店内を見渡した。

「おい、フィン!何処だ!」

らしくもなく、声を張り上げながら胸元に計測器を押し込む。
一部の客が振り返るが、その注目に対して一瞥をやる事も無く。
そして、いつでもその竜頭を押せるように、常に手を添えながらある輪郭を店内の入り口から探し続ける。
icon
名無しさん
――― 駅前のゲームセンター ―――
icon
メッセージアプリの画面
\シュポ/  メーベルさん

\シュポ/  たすけて

フィンとのトーク画面に連続して届いた2つのメッセージ。

\シュポ/

次いで最後に送られてきたのは、駅前のゲームセンターを映した1枚の写真だった。
落としたスマホから撮ったような不自然な画角で、ただ事ではない事態を予感させるには十分だっただろう―――。
icon
コトハ
「な、なんだかよく分からない人だったなぁ~」
「優しいのかな?それとも裏の顔?で、でも……どちらにせよ……」

再び目の前に広がる食卓に視線が傾く。
其処に映された黄金郷の魅力は何事にも代え難く、
ルシェの報酬分の働きという部分を楽観的に考える程に食欲が勝ってしまい

「い、今は……とにかく全部食べてしまおう~」
「よ、世の中なんとかなる~」
「未来の私、よろしく~」

バクバクと、それも幸せそうに、口元を汚しながらも大量の皿を空にしていくのであった。
icon
コトハ
「う”……」

ルシェの声が僅かに下がった時、ややビクついて目を細める。口は止めない。
そうして彼の手が示す空の皿に視線を落とし、そのまま視線は真横に向いて決して目を合わすことはなかった。

「え”……あ、後払い制度……き、聞いていないよ~(。º̩̩́⌓º̩̩̀)」

(こ、この人の為に働く……な、なにされるんだろ……)
(……される?されるっていうよりかは、してあげるなのかな)

そうして彼が立ち上がり、目の前の御馳走達の金銭が目の前に現れると、
いよいよその報酬分の働きをせねばならない事を突き付けられた気がして、
より目を細める。

「う”……お、お手柔らかにお願いします~」
「よ、世の中厳しすぎ――ビクッ!」

通り過ぎ様、軽く叩かれたことに驚きを示し、背筋がピンッと反応する。
口の中に含んでいた食事が僅かに口から零れ、反応に示して揺れ動いた胸元に零れてしまった。

「あ、あぁ~……勿体ない……」

そういいつつも、指先で拭き取って口に戻した。
icon
コトハ
(え”、なんでこんな笑ってくれてんだろ……)
(いいなぁ、私もこれだけ豪快に笑えたらなぁ……)

遠慮なく高らかに笑うルシェを前にして、手や口を止めずにその様を眺める。

(あ、うな重が空になってしまった……幸せはすぐに去っていく~)
過去ログの保存