\ヒョイパクッ/
「俺のだが???????」
「まぁそうだな。これでフィンが不利益を被るのは俺も後味が悪い。俺から注文通りであることを――」カチカチ
「俺が社長ではない事を訂正してくれるなら、オーダーした事を大袈裟にアピールするさ。あとちゃんと食い切って代金も払うし、そんな猫被った催促の仕方をせずとも、フィンの要望には応えるよ」
そうしてカクテルの入ったグラスに手を伸ばし、少量ずつ口に含む。
茶が来る前に少しでも減らしておくべきだ、と思考に奔ってはいるが――
(下地となった表層は依然変わりはしないが、不思議だ。面白いぐらいに表情がありありと変化する。ダイナーで働いているということは、齢は幼少ではないはずだが、子供の相手をしているようで可愛らしいな)
静の忽ち変化を成す表情に、笑みは崩さずに内心滅茶苦茶楽しんでいた。困らせてやろう、という思考ではないが、またその変化を見たいと心に想いながら、和服を揺らして給湯室に入っていくその背中を見送る。
「ダイナーに和装とは、随分と変わった召し物だな。ただ、違和感はない。不思議な空間だ」
「注文通りではあるが、予想以上のデカさで来たからな。まぁ解釈は人それぞれではあるものの、第三者の観測から客観視すべき事柄だったのかもしれん」