カオスドラマFor

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メーベル
(随分と表情を変える人だ。何千回と賞賛を浴びてきただろうに、一個人である俺の言葉にここまで反応を示すとは……なんだか俺の方が承認欲求を満たされているような気もする)
フィンの事細かに変化を成す表層のパーツに、小さく笑みを零す。
「君の腕前が世に認知されたなら、スターも間違いなしだな。高級ホテルのラウンジで、フォーマルスーツを身に纏ったフィンも夢じゃないな」
高揚を隠さない彼女の弾ける姿に、最早安堵さえ覚える。自身が先まで喉元で繰り広げた感動が、目の前の快活な女性による語りで起きた物語である事に前向きな乖離を感じており、その現実に面白さが滲み出てきたのか「フフッ」と口角を上げた。
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「むぅ……ベティ殿の怪力はどうしたものか……」
カウンターの向こう。フィン側の空間に現れてメーベルの視界にフェードインしてきたのは、小学生ほどの背丈しかない謎の和服少女だった。
肩で切り揃えられた淡い紫色の髪。後ろ髪は一束にまとめられ、後頭部でお団子になっている。
謎の和風少女と形容されるだけあり、洋風ダイナーの店内には適してるとは言い難い紫色を基調とした和装。
片肩をさらして肌を見せるように着崩しており、小柄な体格には不釣り合いにせり出た胸元には白い包帯がぐるぐると巻かれていた。
極めつけは腰の帯に差された一振りの小太刀。ここは飲食店。食事を摂る場である。そこで帯刀する謎の和服少女。なぜなのか。
「フィン殿、今宵も閑古鳥が鳴いておるようですね。店番は拙が代わりまする、どうぞ休息を―――」
と、フィンに話しかけていたところで、メーベルの存在に気づいてぎょっと目を見開いた。
「あ、お客人……! ちゃ、茶の”さぁびす”はいかがでございますか。いらぬ節介やもしれませぬが、酒精を召されるのであれば、茶も一緒に……ええと、”あるこぉる”だけ摂取するのは、身体に障りまする」
メーベルがカクテルに興じている様子を見て話しかけながら、カラコロと下駄を鳴らしてカウンターに近づいてきた。
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フィン
「わかりマスか、わかりマスか!!」
フンフン!と鼻息を荒くしながらぽっと頬を朱色に染める。
得意そうに笑う表情と、縦に開いた口から覗く八重歯が彼女の喜びを表現していた。
「メーベルさん、ほんっとお口が達者デース♪ そんなに褒められちゃったらワタシ浮かれチャッテ、仕事どころじゃなくなっちゃいますヨ!」
「ぜひぜひ通っちゃっテ!常連になっちゃっテー! メーベルさんのためならじゃんじゃん腕を振るっちゃいマスカラ~!」
テンション高く浮かれた様子で喜びを振りまいていたところ、スタッフルームの方から足音が近づいてきていた。
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メーベル
口に含むと、オレンジの瑞々しい酸味が弾け、その背後から夜のように濃いカシスの甘さが追いついてくる。明るさと落ち着きが同時に混ざり合い、ジュースのようでいて、確かに酒だとわかる余韻が喉に残る。
だが単純ではない。
オレンジの無邪気な味の奥に、カシスの影のような苦みが潜んでいて、飲み下した後にだけ、大人の味だと気づかされる。
それらはフィンのバーテンダーとしての腕前が存分に発揮された領域であり、言ってしまえばただの酒でメーベルの舌先に一種の思い出を残していった。
「……あぁ、これは染みるな……いつまでも飲んでいたい酒だ」
自然体の余裕のある笑みや、呆れたような口角でもなく、驚いた素振りでもない。
ただ、身体の力が抜け、フィンの提供したカクテルに対して真摯に向き合うような声色と表情を見せる。
「ただのカシスオレンジと侮ってはならないな。君の愛情という奴かい?一見さんにこんなサービスしたら、常連になってしまうぞ」
飲むのが惜しいとさえ思っているグラスを持つ指先の僅かな動き。
再び飲み込む角度にグラスを傾け、ちびちびと口内にその物語を含ませ、小賢しい程に少量で味を堪能していく。
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メーベル
「……」
キッチンへと向かい、滑らかな動きで材料や設備に手を掛けるフィンを眺める。
その所作一つ一つが、ダイナーの厨房の脈動を打っており、観劇に浸る者の眼差しに変貌していく。
「……あぁ、バーテンダーとしての腕前は、今の所作でそうなんだろうなと思えたよ」
「愛情のサービスも助かるよ。心の飢えを癒すには、飲食よりも人の気持ちが有効だ。別にメンタルやられている訳でもないんだがな」
目前にスライドしてきたグラス。僅かに表面が揺れるカクテルを眺め、その反射で僅かに縁取られているフィンの甘い顔立ちが目に飛び込む。
何かを期待しているようなその愛らしい表情に、目を伏せて「フッ」と笑んでみせ、円に口を当てて味を堪能しはじめる。
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メーベル
「おっと、運命をコネコネしすぎると倫理委員会からのお叱りが――いや、アイツらはカップ麺の端に付着した刻み葱レベルの存在感だから確かに気にする事も無いか……」
「しかしバーテン24年の内に、星遣いだった時期はどれぐらいなんだろうか。副業出来るなら俺もしたかったよ(?)」
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フィン
「―――さ! ご注文アリガトゴザイマ~ス! カシスオレンジですネ!」
「ワタシはバーテンダーとしてのキャリアが24年になりますカラ! 暴れる血糖値クンにトドメを刺すサイコーの一杯をご提供しマース!」
彼女の真紅の瞳がきらりと光り、勢いよく踵を返す。
キッチンの棚からシェイカーを抜き取り、同時に足先で低位置にある冷凍庫の扉を引き開ける。
  ザ ク    カ ラ ン ッ
ガラスがぶつかったような透き通る音を響かせ、シェイカーに氷を放り込む。
「ほ、ほっ―――」
大道芸かと見紛うようなシェイカーの躍動。
カシスリキュールとオレンジジュースを注ぐ手捌きすら手品のようで、蓋が閉じられたシェイカーが宙を舞う。
シャカシャカシャカ――――!
銀の筒の中で氷がリズム良くぶつかる音を心地よく響かせ、余裕そうに胸の前でシェイカーを振るうフィンはさながら熟練のバーテンダーだった。
「ほっ―――ヘイオマチ~~完成デース! フィン特製のカシオレ! 愛情た~~っぷり込めといたカラ味わって飲んでネ~♪」
愛想良くそんな軽口を叩きながら、グラスへ注がれた一杯をカウンターに置き、指先で押し出しメーベルに提供する。
「フフ~ン♪」
自信満々そうにカウンターに両肘をつき、上目遣いに無遠慮な視線を向けながらメーベルの反応を窺っていた。
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フィン
カウンターに肘をつき、彼の語る運命への思いに静かに耳を傾けていた。
「フフッ。 たとえ最善でなくトモ、それはオレが選んだ運命だかラ―――みたいナ?」
「そういう気持ちならワタシもよくワカルかもデスネ~。星遣いらしく、よく好き勝手に運命をこねくり回してるカラ」
フィンはそう言って、よく回る舌を”べっ”、と出し、片目を閉じながら煙に巻くようなウィンクをメーベルに向けた。
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メーベル
「ありがとうフィン。俺はまた別側面から天体への懸念を有意に押し上げる事が出来る」
「ただ一つ君に示す事があるとすれば、俺という個は決して「カワイソウ」ではない。俺の選択したその事柄、そして計測器の示した道から外れた物語も」
「俺自身は決して優劣など付けず、俺の歩んだ道としてその価値を心に刻める事。確かに未来をよりいい物にするべく、俺達星遣いは運命調律に励んでいるが、こんなボンクラ(計測器)に示されずとも俺達は運命を選ぶ立場にある」
「あぁ、何が言いたいかというと……フィンの観点は俺の好みだ。その視点を提示してくれたのは、結構嬉しいことだな」
フィンの言葉を「心配してくれた」と捉えており、その冗長な物言いの中で自分の感情を発露させる。先までの飄々とした笑みよりかは、その綺麗めな眉を八の字に曲げて、逞しくも強い声色で、彼女に「心配ご無用」という感情を伝えようとした。
「だとさ、計測器。お前を改造してシェイカーにしても良さそうだぞ」
フィンのおだてにフッと笑い、懐中時計を再び数回振る。
そうしてフィンのニコやかな言動を受け、目に見えてわかる営業とは云えど、心を許すかのように目を伏せた。
「味の濃いものをぶち込みまくったから体内で血糖値がクソ暴れ始めた。追い打ちをかける意味でアルコールがいい(?)君のシェイカーとしての腕も堪能させてもらおうかな。カシスオレンジを頼む」
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メーベル
フィンの示した現実と未来への回帰地点。現時点で計測器から示唆された"今"が、彼女の表情や声色から快く思われるものではないものではないかと感じ取る。
それは星遣いである彼にとっては仕事上通過する感情であり、同時に無神経にまでなれる程に当たり前であった事象。それ故に――
「……」
彼女の同情の念に、物珍し気に口をぽかんと開けて静止する。
「驚いた……なるほど……確かにその観点で考えれば、俺は感じ取る必要のない最善ではない道の行路というものを突き付けられてしまっているのか」
「計測器は常に俺により良い未来の為に天体を示すが、それは本来訪れる必要のない運命の調整……感慨深いと同時にムカついてくるなコレ」
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フィン
一瞬の静けさを見せたフィンが、すぐさまニパッと咲くような笑顔を見せる。
「ワーオ! メーベルさん、とっても素晴らしいシェイキング!」
「ウチのシェイカーを持たせたら美味しいカクテルを作ってくれそうデース!」
「案外お茶目なトコもあるんデスネ~、ギャップすばらしデス……! アーそうデス! 飲み物どうしマスカ? お茶~? アルコ~ル?」
にこにこと人好きのするような笑みを浮かべ、懐中時計に制裁を加えている彼に注文を催促した。
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フィン
「―――常に”もっと上手くやれたはず”を突き付けられるのに、この”今”は違う。……結構しんどいかもね」
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フィン
「ア~~そっカ~~……そういうことデスカ~~……」
彼女に何が分かったというのか。
そう易々と処理できるはずもない情報の濁流を前に、腕を組みながらウンウンとしきりに頷くフィン。
「今の『星遣い』はそういうの使ってるんデスネ~~」
「いやぁ、ワタシはそういう便利なの使わないのが流儀デ~」
自身がかつて『星遣い』であったという大ホラを、まだ懲りずに引っ張るつもりの様子だった。
「それにしても……カワイソウ! より良い未来が見えてしまうナンテとってもカワイソウデース」
「だってより良い未来が示唆されて、常に今が失敗だった~みたいに見えちゃうってコトデショ?」
肩を竦めながら瞼を微かに下ろし、メーベルが持つ懐中時計を見る。
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メーベル
「あぁ、この懐中時計か。これは『星遣い』達のための天体図(ホロスコープ)を覗く為の計測器だ。天体運動と因果波動を同期させる際に発生する時空を探知して――」
「星座の位相変化から確率未来分布図を――」
「極小の時間位相ズレを発生させ、未来の分岐確率を数%単位で調整――」
「内部には魔導歯車と量子水晶、極小のAIチップが――」
「時間位相操作ってのが爽快でな。リューズ(竜頭)を特定角度回転させることで、未来確率を最大0.5%まで補正可能――」
「―――――――」
熱弁。活字が口から渦巻くように飛び出ていき、興味本位で聞いた情報としては脳が拒否する程の莫大な固有名詞が飛び交う。
ただ、その口調は淡々としたものであり、語り続ける本人の顔色に変化は無く、さも「これが聞きたかったんだろ」とでも言うような済ました顔でフィンにひたすら情報を提示していた。
「要は、運命の流量を調整する国家公認技術者である星遣いが、未来を微調整するときに使う計算機だ。普通の時計としても使えるぞ」
「些細な事でも、未来の価値を高める。運命とは天体と連動しているものであり、この懐中時計はその行先を示す神秘的アイテムだな」
「今しがた、君達ダイナーの食事を褒めたが、この計測器によれば他の褒め方であれば未来はより良いものになったらしい」
「たまにこの懐中時計をぶん投げたくなるよ。俺なりに褒めたのにコイツは『違う!』と嘆くからな」
爽やかな笑みのまま、懐中時計を小刻みに振りまくる。まるで中に居る人物を苦しめる為に仕返しをする動作は、さながら子供のようなものであった。
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フィン
「フフン! 実はそうだったんデス! 覚えておいてくださいネ~♪」
腰に手を当てながら、『ドヤっ』と言いたげに胸を張る。ただでさえ大きくせり出ているエプロンがさらにピンと伸びた。
もう自分が真実”ケイオス三大美女の1人”であると思い込んでいるようだった。
続けてメーベルが店や自分たちを褒めると、わかりやすく嬉しそうに笑う。
「ン~~♪ ウンウン! コーディさんそういう風に言ってくれてたんダ、あのヒトやっぱり見る目あるネ!」
「ア~違わナイ違わナイ! なんでか懐中時計がチョットうるさくなったケド、すべての要素が三ツ星だからこそ―――『ふりかけ』???」
瞬間、フィンの表情が真顔に戻る。
「ア……ア~……まぁそうですネ! たま~に削りマス! あの~……ヒジとか! ワタシのヒジってトリュフの香りがするデスヨ~~!」
もはやただのビックリ人間だった。
「それにしても、メーベルさんのそれ……キレイな懐中時計デスネ~。 なにかイワクつきデスか?」
カウンターテーブルへ身を乗り出し、興味津々といった顔でメーベルの懐中時計に目を向けている。
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メーベル
「そうだな。コーディ曰く、目の保養になる店……要は、フィンを含めた従業員を眺めながら食すことに導きがある事を説いていた」
「この食事は店の雰囲気が、厨房の設備が、食材の品質が、料理人の腕が、そして君達という存在が関与し合ってこそ真価を発揮している」
カチカチッ、と懐中時計が鳴る。まるで"そうじゃない"と言っているかのような、忙しない音であった。
「違うか……ん-……君という『ふりかけ』のお陰で美味くなっているんだ(????)」
明らかに悪意のない声色や表情、視線の動き。
妙な表現こそしたが、フィンの料理そのものを気に入っており、その上でフィンたちを眺めていられることに是を示していたが、やや表現に難があった。
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メーベル
「そうなのか。俺は『星遣い』にケイオス三大美女の一人が居る事を初めて知ったようだ」
絶対に違うだろ、という直接的な表現はせず、静かなツッコミをフィンに入れる。
その直前の増えた3億人についても、特に触れずにいた。
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名無しさん
(あ~~確かに……モノは言いようだわ~……)
損と得の言い換えに感心しながら、褒められていることを理解し嬉しそうに目を細めた。
「! オニーサンはメーベルさんって言うんデスネ~~……んふーメーベルさん、よろしくお願いしマス!」
彼の自己紹介に元気に応え、”メーベルさん、メーベルさん!”と意味なく何度か名前を呼び楽しそうにしていた。
そんな中で首を傾げながら言葉を投げかけてきたその内容に目を丸くする。
「まぁ……実はケイオス三大美女に選ばれチャッテ~~……そう、本当はワタシの美貌の力で10億人のお客さんが来てたんだケド~……まぁ蒸発しちゃってラ、しょうがないよネ~~」
やや大袈裟に肩を竦めながら、何でもないような口調で言った。そして極めつけには―――
「ア~~~……『星遣い』デスか……そっかー……懐かしいデスね~……ワタシも頑張ってたナ~」
などと、おそらくメーベルが与えられている役割を一度経験したことあるような言い回しをする。もちろん嘘である。
「ふふ、んまいデショ~……? なんかその、思わず素で出ちゃった~みたいな褒めがいっちゃんウレシイですネ~♪」
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メーベル
「……あぁ、そうなるよな」
「フィン。よろしくお願いします。俺の星詠み(名前)は『メーベル』という」
「計測器に沿って世の運命を調整する『星遣い』と言ってな……まぁまともな仕事に就けていない風来坊と思ってくれていい」
自身の話になると、ややバツが悪そうに表情が引きつる。
目前にいるフィンに対して、視線だけでその溌溂とした言動を満遍なく受け止め、幾度か瞬きを繰り返して首を傾げる。
「しかし、随分と可愛らしいシェフだな。彼(コーディ)の言う通り、外面だけで売れても可笑しくはない」
「何故こんな客がいな――あぁ、そうだ。俺が蒸発させたんだったな」
「――」
目の前でフィンが見つめる中、少し食べ辛そうな感覚を出しながらも、チェリーバーガーに食らいつく。
「んま」
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メーベル
(あの男がこの人に?そうか。あいつはどうやら数撃っちゃ当たる作戦に出ているようだな。三十路の男が良くやるものだ)
フィンの求婚の下りから、コーディの風評被害が加速する!
「質量に対して、味がいい意味で釣り合っていない。これは今、身体に放りこんでおかないと損だね、損。いや、この表現は少しマイナス表記になってしまうな。身体にぶち込めば得だよ、得」
「俺の読む詩は紙媒体ではなくてね。まぁ、懐中時計由来ではあるのだが――」
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フィン
「葬儀屋―――」
彼の口から出てきた名前に目を見開く。
「ああ! この間きてくれマシタ! ウンウン、その時はとってもタイヘンだったデース……あんまりにもワタシが美しすぎるからって、しつこく求婚されちゃッテ―――」
さらりととんでもないでまかせを口し、ピザにかぶりついたメーベルを見てくすりと笑った。
「これくらいは食べきってくれないト! 味は保証しますカラ! どうしてもダメだったら持って帰ってもオ~ケ~♪」
「ん、ピザを片手に詩を詠む……?! ダイジョブ、その詩脂ぎってナイ……?(汗)」
と、話題を仕切り直すようにメーベルが座るカウンター側へ身を乗り出し、彼にずずいと顔を寄せながら見つめる。
「ところでオニーサンは何者デス? ワタシはフィン、氷室フィンと言いマス! オニーサンの雰囲気、とってもミステリアスで……ワタシ、気になりマス……!」
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フィン
「ソウ……アナタは良くわかってるデス……ワタシの胃袋は天の川に繋がっているのデスヨ……コズミックパゥワァァァァ……!!」
(なにいってるこいつ????)
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メーベル
「ウェディングピザか???」
目の前に置かれたピザを見て、その幾分にも重なった層に多少驚きを見せる。
「君はイケるクチかい。流石、シェフというだけあって大量の味見をしてきたから、胃袋も夜空の端に連ねる世界を持っているようだ(???)」
「この店は葬儀屋を従事している知人に教わった。名を『コーディ』という。目に入れても居たくない程の美女が集っていると教えられてね。その評判は嘘ではなかったようだ。実際に君は――」
「いや、デカすぎる。思った百倍デカいの出てきて口に放り込めんぞこれ」
軽々しいリップサービスの最中、最早雰囲気を度外視してピザにかぶり付こうとしていた。
だが、その巨大な生地に口を添えただけでは円の縁をなぞる程度の事しか出来ず、苦戦していた。
「――こう食べればいいのか。なるほど」
それはそれとして、その眉目に似合わない大口を開けて、ピザを食し始めた。
「んま、んま……男の好きな不摂生を理解しているね。これを片手に詩を詠むのも乙だな」
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フィン
ジュゥ、とバーガーに挟むパティを焼ける音を聞きながら、ちらりと横目で彼の様子を見る。
(浮世離れしてるって感じ……なんだか妙に絵になるというか。懐中時計を見る仕草もなんか……物憂げで詩人めいてるような―――)
\タイマーセットしとこう/
(いやタイマーかい!!!)
「ハ~イ、お待たせしましタ~♪」
心のなかでツッコミながら、仕上がった料理をカウンター越しにメーベルに差し出した。
肉、野菜、チーズ、バンズのド定番ハンバーガー”チェリー・バーガー”と、
『とにかくバカでかいの』と注文を受けて窯をフル稼働させて焼き上げた、5段重ねのピザ。
成人男性でも食べきるのは難しいだろうことは一目瞭然だった。
「ン~……ワタシのオススメいっぱいいっぱい食べてくレル、ウレシイけど……オニーサン、これ食べられル? 正直ムリじゃない? まぁワタシはイケるケド……(???)」
「ところでさっき、興味深いお話ピロッとしてましたネ! ”知人曰く穴場のダイナー”って……このお店のこと、誰かに教わったノ?」
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メーベル
「さてと……」
フィンが調理をし始める中、身に着けていた懐中時計を懐から取り出す。
その姿はさながら、時空を超え、夜空に舞う。そんな詩人めいた男の姿にも見えはしたが――。
「タイマーセットしとこう」
料理の提供時間を測るだけの見かけだけの行動であった。
「しかし、俺が来てから全員蒸発してしまったのは申し訳ないな。知人曰く、穴場のダイナーがあるとのことだったから、その分の売り上げを俺が損失させてしまったのなら補填したいところだけど……」
「ん~?あぁ、星詠みの計測だと駄目なのか……残念だ」
「やはりここは君のオススメを滅茶滅茶食いまくるしかないな。流石に空腹には勝てん」
独り言に近い、フィンに語り掛けるような声色。
口元には僅かに涎を垂らしている形跡があり、いまかいまかと待っていた。
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フィン
「ハ~イ!☆ わかりマシタ! じゃあチェリー・バーガーとワタシのオススメで―――バカでかいやつ???」
ん?? と語尾が上がり、カタコトだった口調が抜けて流暢になる。
「え? あぁうん待つ……ん? は? よかった?」
「バカでかいやつ????」
汗を浮かべながらオウム返しのように呟いた。
「……ン~、わかりマシタ!! 少々おマチ~~☆☆」
考えることをやめ、キッチンで忙しなく動きはじめた。
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名無しさん
「いや~ソーなの! もう繁盛しまくりデ―――」
と、動きを止めて周囲を見渡すフィン。
客の1人も見つけることは出来ず、もはや貸切状態だった。
”繁盛している”というのは苦しい。ならば―――
「―――繁盛しまくりデ、お客さんさっきまで満パンだったんだけド~……なんかみんないきなり溶けちゃって~、いなくなっちゃッタ~(???????)」
適当すぎる舌を回しながら彼女は手元の調理道具の準備をテキパキと進めていた。
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メーベル
添付
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メーベル
「生き生きとした挨拶、痛み入る。なら――」
\7オクニンメノオキャクサマ/
「随分と繁盛しているな(違います)」
案内された、先までフィンが腰かけていた席に悠々と腰かける。
その動作一つ一つに、夜空を模したコートやスカーフが音を鳴らし、
装備している懐中時計が心地よく金属音を奏でていた。
「あぁ、オススメの品を一つと、あとおまかせしていいだろうか。腹が膨れるものがいい。出来る限りバカでかいやつで頼む」
「いや、ちょっと待ってくれ……(手袋越しに自身の手首を眺め、眼を細めて何かを確認する)」
「あぁ、よかった。バカでかいやつでいい。バカデカイ奴たのむ(?)」
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フィン
!!

(ほいきたーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!)

「ハーイ!☆ オハヨーコニチハーコバワー!」

さっきまで全身で表現していた倦怠が一瞬で消え失せる。
メーベルが繰り出した全時間帯挨拶を律儀に返し、
カウンター席からぴょんと飛び出しながら人懐っこい笑顔を浮かべた。

(わ~すっっっっっっごいイケメン……星屑柄のコートってなんかロマンチスト感あるな? 星座好きなんかな?)

「CHECK & CHERRYへようこそ~~! そしておめでとうございマーーース!!」
「あなたは当ダイナーの7億人目のお客サマなので、特等席へご案内デ~ス!」

と、外国人のようなカタコトで言いながら勧めるのは、先までフィンが座っていたカウンター席。
キッチンを隔ててすぐのそこは、店員と話すにはうってつけな場所だった。
フィンはそのままキッチン側へ周り、カウンターの向こうからメーベルを上目遣いに見つめて言葉を続ける。

「どぞどぞ、座っテ~♪ ご注文はナンにしますカ? オススメは当店名物のチェリー・バーガーデ~ス☆」
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メーベル
ネオンの入り口。その扉の鈴の音色を揺らしながら、ダイナーへと星屑柄のコートを来た男が入ってくる。

「おはようございまーすこんにちはーこんばんはー」

最早何を目論んでいるか理解出来ない、全時間帯の挨拶を口ずさみながら小刻みに首を縦に揺らして、腰の低い対応で目線を泳がせる。

(おー、コーディの言う通り、がらんどうだ。内装は滅茶苦茶綺麗だし、雰囲気もばっちりなのに……星詠みの番いが見捨てるような空気ではない。ここは俺が一つ救い(売上)を提示してやるか)

「すいません。一人、案内お願いしてもよろしいかな?(超絶紳士的声色&微笑み&ポーズ)」
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名無しさん
チリンチリーンッ
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フィン
フィン「ん~~~~~…………」

赤と白のチェッカー模様の床をネオンがやわらかく照らす店内。
閑散としているのは毎度のことだが、今宵はことさらに静かだった。

フィン「ひまネ~~~~~……
   (開店して数時間も客ゼロってすごくない? まいーけど……困んのオーナーだし……)
   (客が座るカウンターに肘をつき、頬をむにっと押しつぶしながら入口の扉を眺めていた)」

フィン「(またベティとお静にだる絡みしてもいいんだけど、
     さすがにしつこく思われそうだしな~~……)

    ……誰か来ないかナ~……

   (カウンターテーブルにつまらそうに身体を投げ出し、
    重力にならって伸びた腕と銀髪のツインテールがだらしなく下に垂れる)
    
    ……決~めた。次に来た客には特盛りサービスでだる絡みしちゃお~~~……♪」
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名無しさん
――― ダイナー・CHECK & CHERRY ―――
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名無しさん
 * * * * * 
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エクトル
「……確かに、言われてみれば街の図書館や本屋は随分減っているわね。見掛ける事は減ったし……電気信号に知識や物語を依存する、短絡的な大衆に迎合する世間の流れは、嘆かわしい事だわ……」

(…………うん、そう。市井の話。そしてここは、やっぱり大学図書館の類。初対面の私に対しての彼女の知的ぶった顔付きと物言いからして、私は異邦人の類に見えるんでしょうね……ここの大学に入った覚えはないから、実際そうなんだけれど。)

「そう、そうね……お願いいただけるかしら。随分とここに詳しくいらっしゃる様ですし。それとこの場所も教えてくださる?」
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探索者A
(墓地から図書館?この周辺に墓地は……まあ、まああるけれど内外の隔たりを超える方向音痴は度を越しているな……。"門の創造"でも潜ったか?)

「っはは、まああ近頃は紙媒体の需要が低い。街場の図書館は解体化縮小が進んでいる現代だ、物珍しいのはそうだろうね」

目を細め腕を組み繰り返し頷く。そういう彼女は本の巣に住む虫と言わんばかりに離れしているように落ち着いていた

「よければ外まで送ろうか?船酔いは付き物だよ、それが活字の海の上でも」
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エクトル
「状況からして、私に何があったのかは……推測は出来るけれど‥…」
ブツブツブツ…
「でもさっき歩いてたのは……錯乱して記憶が飛んでた……?そんな訳ない、墓地から大学図書館って……えぇ!?」
(独り言をブツブツと呟きながら考え込んでいた所、突然探索者に話しかけられて飛び上がり)
「はっ…え、ええ!?ああ、ご機嫌よう。お、お構いなく…少し、そう、立派な図書館に、その、言葉を失っていた所で…」
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探索者A
 (エクトルの姿が橋に視界に入る。困惑する様子、出入り口付近という情報から道に迷っている以外の何かに直面していると判断した)

「おや、どうかされましたか。顔色が少しすぐれないようですが」

(角、髪色……亜人種かな。この状況下で道に迷っている演技をするとは考えにくい…… 『心理学』を仕掛けてみるか? 別に、大学生の知識目当てで魔物が化けていても、それをどうこうする義務はない。ただなんか面白そうだ)
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エクトル
………いや、いや……どこかしら、ここ……?
(所在なさげに、きょろきょろと周囲を見回しながら歩いている。随分、困惑しているようだが……)
東部の……東部?大学図書館?
(そんな中、探索者Aのつぶやき(>>71)が耳に入り、思わず復唱しながら振り返り)
……な、そんな……?わ、わたくしこんな所を歩いていた筈では……?
(どうやら、何の因果か……見知らぬうちに、図書館へと迷い込んでいたようだ)
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探索者A
「―――――『セラエの断章』この世界に『山』があるなら、必然的にこれもあるはずなんだがな……」
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探索者A
「(ケイオス東部某大学図書館入口。やけに重く、その癖せじょうされていない堅牢でも開放的でもないどっちつかずな正門を押し開け、一人の女声が目頭を抑えつつ外へ出る。午後12時の昼下がりの日差しを鬱陶しそうに腕で遮り、脇に抱えた本を大切そうに抱え女性はため息をついた。) 今回も"スカ"か……東部の大学図書館は一通り見て回ったが……(目当てのものが見当たらない事がうかがえる口ぶりで地図アプリを開き、現在地にマーキングを加える。この現状に落胆しつつも、どこか納得しているように落ち着いていた)」
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いかりや長介
(教師の格好で)全くアンタらはテストのての字もないじゃないの!!抜き打ちテストやるよ!!
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名無しさん
おらおらおらおらおらおらおらおらああああああ!!!!(腕を岩と化して喜ぶ)
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