カオスドラマFor

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メーベル
「……」
ピュアという単語に対する異常なまでの思考時間に対して、特異性を感じ取る。恐らく単語の意味合いをそもそも知識として備えていない事を考慮して、どう説明すべきかと悩んでいたところ
「醤油で美味いて……ツマのことか?」
予測ではあるものの、最早説明さえ困難である認識が飛び交ったため、一旦彼女がピュアというものに触れる機会を取り消すべく、話題を変えるべきだと思考に至る。
その最中、突如出てくるワードの数々の連想ゲーム感覚に、眉を数度動かした。
「元気一杯だな、君は。焼き鳥屋に行くのは構わないけれど、初対面である男に対してその招待の仕方は聊か距離感が近いと思うんだが」
「……君のキャラではあるか……ダイナーで焼き鳥の提供は抑々として存在し得ないかな?此処でチキンのメニューを取り入れるのであれば、他店に赴かずともパーティが出来ると思うぞ」
ベティの溌溂さに押され気味故か、ところどころ歯切れの悪い返答が続く。ただそれは嫌悪的要素は含んでおらず、彼女の元気さが故にそれに合わせようという努力は垣間見えた。
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ベティ
「ね~~~!! 私は私でいいですよね!! わ~~誰かに『ベティでいい』って言ってもらえると嬉しい!!大発見です!!!!」
むふー!!と、みなぎる自信を発散するかのように勢いよく胸を張る。
満足してふと視線を落とすと、カウンターの上で象られていた文字を見てきょとんとする。
「それでメーベルさん、さっきから私から出た変なの拾って何をしてるんですk……ピュ…………?」
思考がフリーズしたかのように動きを止め、頭の中の引き出しを一生懸命開けまくっていた。そうしてベティが思考を限界まで練り上げて絞り出した言葉が―――
「………………ぁ゛……しょ、醤油つけると美味しいやつ……?」
――――。
「まあいいや!!!!!(無敵) え!!青色好きなの~~~!? わーいいよね青色!!メーベルさんに似合ってます!!!」
「じゃあ書いてあげよ~っと―――へ、お空を見上げた時!?(一転攻勢)わ~鳥さん飛んでますよね~空って!!(スイッチ)焼き鳥食べたいな~(パなし)今度焼き鳥屋さんいきませんか!?(起き攻め)」
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メーベル
「……?いや、言ってな――」カチカチ?
「俺の滑舌が悪かったか。『ピュア座』と言ったんだ。すまない、どうやら君から受けた衝げk」カチカチ(◞‸◟)
「さっき飲んだ酒が悪さをしているようでな。シュワちゃんとは言ったつもりはなかったんだ。君はベティのままでいい。ベティでいい」
彼女の周りに浮かんだハテナマークを両手で抱え込むように回収する。回収したハテナマークを引き延ばしたり、違う角度に曲げたりして、カウンターの上に「ピュア」と文字を作った。
「あと俺の好きな色は青色だ。正確にはシアンという明るみに長けた青でな。未明に近い頃に、空を見上げた時に映る色を想像してくれるとわかるかな」
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メーベル
ピュア座と言い直した時、彼は特に違和感も無く普段通りの言動をしていた。それ故に、ふと感じた二人の圧が背中をなぞり、ブンッ!と首を振ってその圧の元に視線を向けると。
「……」
どうやら言い直してよかったようだ、と心の中で胸を撫でおろした。ただ本来、口にしようとした星座を、本当は滅茶苦茶発声したかったようで、誰にも気づかれぬように残念めいたように目を伏せた。
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ベティ
\ピュア座とでも名付けようかな/
「え……”シュワちゃん”……?」
「……? ………???」
小首を傾げ、ハテナマークがポンポンポンと浮かびまくる。
「わ、私ベティがいいです……シュワちゃんはちょっと……ヤですね……」
どこか言いにくそうに、申し訳なさそうに言うが……誰も『シュワちゃん』などとは言っていないのであった……。
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フィン&静
\ピュア座とでも名付けようかな/
「……計測器くんのお陰で命拾いしたわね。言い切ったら頭を楽器にしてやるとこだったわ」
「うむ……仮にも花の乙女にございますゆえ、仕置きをするところでございました」
メーベルとベティの脇で、密かに危機が一つ回避されていたのだった。
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\星座の名はゴr/
バサッ
なぜか置いてあったハリセンに手を伸ばし―――
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フィン
\星座の名はゴr/
カチャッ
咄嗟にお玉を引ったくるように掴み取り―――
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ベティ
「え!!! おそろっち!?!? おそろっちするーーー!?!?」
「じゃあ私が書いてあげます!!! えへへ!! 超デコっちゃお~ぜったい可愛くしてあげますから私!!! ねーねー何色がいい? 何色が好き~~!?」
キラキラと表情を輝かせ、とてもついさっきまで謝罪をしていたとは思えない勢いでその場でぴょんぴょんと身体を弾ませた。
「エ!!ビンタだなんてヤだな~も~~~!! ちょっとタッチしただけじゃないですか、タッチ~!」
そう言いながら、えいえいと空中で軽く手を振ってみせるが、ヴンッ!ヴンッ!!と風切り音が鳴り、明らかに常人のそれではなかった。
「でもサービスって思ってくれてるならベティ嬉しい~~~!! 次はも~~っとサービスしちゃおっかなぁ~!」
と、ここで彼の口から”星座の名”が飛び出そうとし―――
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メーベル
突如目の前に迫る美少女の笑み。思わず尻込みするかのように、身体を後ろに逸らして、瞳を縮小させた。
「あ、あぁベティ、よろしくお願いします。挨拶通り、俺はメーベルだ。俺も名札を付けて来店しようかな」
ベティの張りつめた制服に掛けられたネームプレートに一瞥をやり、それを見て欲しいと無邪気に笑みを浮かべる彼女に釣られて、彼もまた口角を純粋に持ち上げた。ネームプレートで名前を忘れないという発想が気に入ったのか、自身もまた名前を憶えて貰えるようにという冗談交じりのトークを返す。
「あぁ、大丈夫だ。もう背中の衝撃は夜空に消え去って――」
「うん、患部を冷やすどころか凍らせてしまおうという意気込みはヤバいな。全て勢いでどうにかしようとしていないか君」カチカチd
「冷凍庫に入るのがいい未来な訳ないだろ」ガッ
「サービスならさっき貰ったよ。君からの熱烈なビンタ(?)は俺の天体図には存在しなかった星座を記録してくれた。インパクトしかない。星座の名はゴr」カチカチカチカチ!!!!
「ピュア座とでも名付けようかな」
ベティに挨拶を交わす中、計測器が合間を縫って音を出す。懐中時計から鳴っているのがわかりやすい程に、計測器は音を鳴らす度に小刻みに震えていた。振動の度に、器具の反射が輝き、ダイナーの色に併せて白にも赤にも共鳴していた。
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メーベル
\何百人のお客サマを病院送りにしてきたカ……/
「……」
フィンの口から出たものは、大抵数字のインパクトのみが重視されたものだと思ったが、この時ばかりはその通りかもしれないと彼は心の中で頷いていた。
「静の眼を以てしても捉えきれない速度か……通りで俺の背中に新たな星座が生まれる程の核融合反応が如く衝撃が発生したわけだ。いや納得出来んて」
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ベティ
「あわわ……は、は~い! ごめんなさいっ、メーベルさん!!」
両足をぴしっと揃え、勢い良くぺこっと頭を下げる。
そしてそのまま反動をつけて頭を上げ、カウンター席に座るメーベルにずいっと迫り寄る。
「改めまして、私ベティって言います!!! ほら見て、ここ!!ベティって書いてあるでしょ!?これ便利ですよね~~名前忘れないから安心~~~!!!」
言いながら彼女は、ピンと張りつめた制服の胸元――『ベティ』と可愛らしく書かてたネームプレートをこれ見よがしにアピール。
十分に確認してもらえたと思ったタイミングで、パンッ!と申し訳なさそうに両手を合わせた。
「それからいきなり背中にタッチしちゃってごめんなさい!! えっと……お詫びにデザートでも……? アッそれとも氷!?!お背中冷やした方がいいですよね!!!?なんなら特別大サービスで、おっきな冷凍庫に入ってもらうというのもイケますけど!!!!!」
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「一歩遅かったですな……拙がいたにも関わらず、ベティ殿の勝手を許してしまい誠に申し訳ありませぬ……あの通り、彼女はなかなかに素早く……拙の目にもなかなか」
一方、静のほうも汗を浮かべこころなしか無念そうな表情を浮かべていた。
「さあ、ベティ殿。歓待の意も結構にございますが、次に謝罪を。客人に背後から襲いかかるのは、とても接客とは申せませぬゆえ」
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フィン
かたやフィンはというと、カウンターの向こう側で額を押さえながら汗を浮かべていた。
「ベティ……初手の力加減は気をつけてくだサイ……それで一体、何百人のお客サマを病院送りにしてきたカ……」
嘘か真か微妙に判断に困るラインであった。
「彼はメーベルさんデス、しっかり自己紹介するデスヨ~ベティ?」
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ベティ
「エ!!違う人なんだ!! びっくり~!! てっきりイメチェンしたコーディさんなのかと思っちゃいました!!」
ぱちぱちを目を瞬かせ、大きく口を開けながらそれを隠すように手のひらを口元に添える。
「だってこのダイナーってお客さんぜんっっっっぜん来なくって!! この間隔で来店してくれてるお客さんならコーディさんかな~って!! あはは!!!!!」
あははではない。
「でもお友達なんですね! ようこそいらっしゃいませ!!」
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メーベル
「ゴホゴホ……ん”ッ、ん”ん”!」
何とかベティから解放され、喉を鳴らす。襟元を直し、スカーフを巻き直して目を擦った。
「す”ま”な”い”、コ゛ーテ゛ィ゛じゃなく゛て、その友人た゛」
先の一撃で肺がやられているかのようなスカスカの吐息声。それでも発音だけは!と喉を鳴らしてベティに振り返り、カウンター席に腰かけたまま目線を合わせた。
「あ”~~”~……んっんー……うん」
「君がコーディの言っていた子か……熱烈な挨拶痛み入るよ。しかし、俺はあいつとそんな似ているかな?装いからして結構違うと思うんだけど」
焦点を合わせるように目元に力を入れる。瞳を何度かぐるぐると回し、しっかり視力が戻っていることを確認すると、懐中時計に一度視線を下ろす。計測器から音は特に発せられることはなかったが、物自体が無事である事を認識すると、再びベティに視線を戻した。
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メーベル
「あbrrrrおrrrrrr」バキボキボキバキバキ
首がすわらず、赤べこのようにだらんだらんと前後左右に顔が動く。
ただ動作するだけであればよかったのだが、ベティのその勢いの有り余った振動により首元から恐ろしい音が連続して鳴り続けた。
「ば、待゛、待て゛!死゛ぬ゛!本゛当゛に゛死゛ぬ!星゛が!星゛がもう来てい゛る!!!」
辛うじて力の入った腕を用いて、彼女の手を掴んで離そうと試みる。
(強ッ!!!なんだこれ、人間のフィジカルとは思えない!)
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ベティ
「こーーーんばんはーーーー!!! コーディさんっっっまた来てくれたんですねーーーーーー!!!!!!!!!」
彼の背中へビッグバンを放った張本人。ベティである。
金髪の毛先が桃色に染められた、愛嬌と勢いがたっぷりなウェイトレスの少女。
白とピンクを基調としたサンバイザーとエプロンのウェイトレス姿は彼女の快活さによく似合う。
しかしまた、健康的かつ肉感的な体つきや、元気すぎるが故にヒラヒラと忙しなく揺れる短めのスカートは、見る者によってはやや目の毒かもしれなかった。
「もう!! フィンちゃんも静ちゃんも、コーディさんが来てくれてるなら教えてよ~~~!」
わざと頬をふくらませるようにして2人に文句を飛ばし、自分が背中をぶっ叩いたメーベルを見てきょとんと目を見開く。
「……あれ? こんにちは? こんにちはーーーーー!?!? やばい死んじゃった!!!!!!! 起きて!!!起きてくださーーーーーい!!!!」ユサッユサッブンッブンッ!!!
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メーベル
ハ”ア゛ンッ!゛
「――ソ゛テ゛ィア゛ク゛!゛?゛」
背中から訪れたビックバン。その衝撃波は、彼の青い眼を吹き飛ばし、色素が瞬時に消え去る。端麗な容姿から発せられる謎の悲鳴音と共に、口元から白い衝撃波が名残として飛び出た!
「――ったァァ!!!!!!!!!!」
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メーベル
「前提となる形式を覆す雅を織り込むことは、それもまた『遊興』として捉えられる。君がこの西洋の商いにて和を提供していることは、確かに贅沢な代物だ……」
「あぁ、確かに多くを試す事は星天の確執さえ気に留めない星座線を描き直すような自由の印だ……」ガッ
「俺も現に君に教えられているようなもので――ん?」
静の淡々とした物言いに変化が見られた時、眉を僅かに動かす。その様子は先までの静かなる和を象徴とした者を保ちながらも、何処か危険を察知させる緊急性を備えており
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メーベル
「俺の表現技法を即座に理解してくれたな。有難い話だ。大抵は「何言ってんだコイツ」という言葉が顔面に貼り付けられるものだが――」
「明日を楽しみに思えるよ……」
フィンの目元から星を飛ばすような笑みを受け、綻んだ口角で目元を細めた。
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「……左様にございますか。口に合いましたなら、何よりでございまする」
感情の起伏が乗らない、淡々とした声色。
しかし、その落ち着いた声には確かな『安堵』が滲んでいた。
「一見すると場にそぐわぬような”異”も、同じ卓に並んでしまえば……案外、贅にございましょう。この”れとろ”で”ぽっぷ”な”だいなぁ”で働くにはこの拙も、いささか奇異ではございますが……これがまた中々どうして」
目元を細め、口元をかすかに緩ませる。
「なんでも試してみるものにございます。それもまた、彼女らに教わったことで―――!? これ、待てっ―――!」
突如として、メーベルの背後へと凄まじい勢いで殺気にも似た予感が迫る!
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フィン
「つまり~アレデスよね! 今までのメーベルさん的な言い回しデいくと……他のメニューも楽しみにシテルよ~みたいなコトデスよね?」
「それならオマカセ!明日もドンとこのフィンに任せるがイイデ~ス!」
デフォルメチックにぱちんと星が散るようなウィンクを飛ばした。
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フィン
(く、クソAI……! へえ、でも使用者によって態度を変える道具なんて面白いじゃんね~……しかも人格まで。はえ~うちのオーナーには知られない方が良さそ~……にしてもキレイ。普通にお洒落だわこれ)
見やすいように持ち上げられた懐中時計をまじまじと眺めていたところ、先ほどから何度も鳴り続けていた機械音が再び鳴り―――そして続く彼の言葉に素のような表情をし、仮面がわずかにずれる。
「ぉ――――び、びっくりした! 今のはフツーに口説かれたのかと思いマシタ!」
「ただでさえ顔がイイんデスから、そうやってすぐ女の子を喜ばせるようなコトは言わない方がイイデスよ!?」
熱を持った頬をぱたぱたと扇ぎながら、取り繕うように声を上げる。
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メーベル
自らの葛藤、という程ではないが、思考を挟む中、目の前に置かれた湯呑の侘び寂びに眼を細める。ダイナーのテーブルには異質な和の象徴を感じながら、その実、其処から溢れる芯から身を温める効能の和風が心を躍らせていた。
「……生姜か……茶の効能だけでは無く、付加価値を添えて俺の為に提供してくれているんだな……」
「茶の花香より気の花香。その説明を受けて、飲む前から心が温まったよ」
先まで内側にあった迷いは薄れ、感心めいた口角のまま彼女の雅な佇まいから示された湯呑の側面を右手で持ち、底に左手を添える。
「いただきます」
そっと、優しく口に濁りを含ませ、彼女の焙煎した物語を口内に広げる。味わい深い茶葉の緑に関与する成分が、底から身体に馴染んでいき温かみを広げる。そして広大に眩く中で、薄くも深みを表した生姜の色素が、温かみを染み込ませていった。
「……んま」
「花月夜に坐する天女の泪……星空の下で、この侘び寂びを味わう事こそが君の淹れた茶に対する敬意ではあるが……不思議だな……このダイナーで飲むからこそ、『安堵』する」
「すまない。洋食や果実酒と共に茶など無粋だとばかり思っていたが……俺には合うようだ」
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メーベル
「あぁ、もう茶の時間か……」
(まぁ大分ピザの濃い味で未明にまでは染め上げたから、酒との相性は考えずに飲もうか……)
カチカチ
(分かっている。お前が提示せずとも、俺はもうお静の善意を受け取る。別に良い顔したいとかじゃないんだが、俺が飲んだなら喜んでくれそうだろ、彼女)
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メーベル
「計測器はあくまでも星遣いの補助に使われる天体図投影器具だ。星詠み(運命調整)の際に確かに必要となるものだが、まぁなくても死にはしないからな。無くしたらベソかくまで怒られるだろうけど」
「AIや天体の意思が合わさった魔道具ではあるから、計測器それぞれに人格が存在するのは確かだ。星遣いの多くは計測器を従えている。その中でも、俺の計測器は使用者たる俺に敬意の欠片もないクソAIを搭載しているから、手に負えない。男嫌いなんだろうなコレ」
計測器に関する情報提示をしている最中、それ自体がよく見えるようにフィンに手元の懐中時計を視認しやすいように持ち上げる。
カチカチッ
「で、こいつが言うには君との関係値がこのままの方がより良い未来がある事を提示している訳だが……生憎浪漫に欠ける話だ」
「フィン、明日も勿論来るよ。君が繰り広げるもう一つの星の輝きを、俺の夜空に灯して欲しい」
要約すると『他のカクテルの味も楽しみにしている』という事だが、星遣い特有の詩的な表現を恥ずかしげもなく、真っすぐでありながら余裕のある瞳で口にする。
(計測器の示した未来に『変化』は訪れない。彼女の酒の味をこれからも味わう事の出来る保障がある。だが、それとは別に――その表の顔を剥いだ時の未来を、俺は見たいな)
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「おまたせ申しました」
フィンがまくしたてていた最中、静がカウンターへと帰ってきていた。
「静が腕によりをかけて淹れた茶にございます。どうぞ冷めぬうちに召し上がってくだされ」
コト、と湯呑みをメーベルの眼の前に置く。立ち上る湯気にはややツンとした香りが混ざっていた。
「生姜をすりおろして混ぜておりまする。もう間もなく春の足音も聞こえて参りますが、まだまだ冷える日はございますゆえ……」
手のひらで湯呑みを示し、微かに笑う。
「温まりますぞ。ぜひ」
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フィン
「それにしても本当に気に入ってくれましたネ~ワタシのカクテル! そんなに気に入ったんだっタラ、明日もゼヒ―――」
グラスを傾けるメーベルを目を細めながら嬉しそうに眺めていたが、ふいに手を止めてグラスを見つめるメーベルを見てきょとんとし……直後、彼の口から放たれる難解な語句たち!
「!!!」
「―――その通りデース……! ヤハリ星遣いの大先輩とシテ、メーベルさんには満天の星々の躍動ヲ、その舌で味わってほしクテ……スタァリィスカイパゥワァァァァ……!!」
(なにいってるこいつ??!??!??)
超反応を駆使して即座にアジャスト。無論、彼女が提供したカシスオレンジにそのような意図は無かったが、先ほどフィンが言った”好き勝手に運命をこねくり回す”とはこういうことだったのかもしれない。
\ガッ/
そして間髪をいれずカウンターに押し伏せられた懐中時計。次いでメーベルの口から放たれた言葉にぎょっと驚き、コミカルにツインテールがピーンと跳ねた。
「持ってってイイって―――イヤイヤ! そうはいきませんヨ~! 星遣いにとって大切なモノですよねソレ!?」
「確かにいま鳴ったカチカチは、な~んか含みがアッタような気がしなくもないようナ……ま、まぁ仲がイイ証拠ですネ~! 懐中時計と仲イイてドユコトやね~ん!って感じデスケド~!」
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フィン
「ダイナーに和装―――でしょウ~? ワタシも初めて見た時はビックリしまシタ!」
「ウチのスタッフってみんな個性的で、出身も様々なのデス。お静が東、ベティ――もう1人ベティってウェイトレスの子がいテ――が西、そしてワタシが北! まさに三者三様って感じデスね~」
先ほどメーベルに出したピザをはむっとくわえ、みょ~んとチーズを伸ばす。
ほくほくと満足げに『おいしい~♪』と頬に手を添え、身をよじるたびにツインテールとエプロンがふるふると揺れる。
\俺のだが?????/
「んふ~♪ まあまあ~♪」
口元からチーズを伸ばしながら、一切悪びれる様子はなかった。
「訂正~? まぁしょうがないデスね、あとでジョークだかラ~ってサクッと訂正しておきマス!」
「なんか面白いコトになるかな~と思ってつい言っちゃったんデスけど、危うくお説教のしっぺ返しを食らうトコロでしタ」
「しかも庇ってまでくれるなんてぇ~……フィンときめいちゃいマ~ス♡ 猫を被るなんてとんでもナイ!被るならせいぜいネコミミで~す♪」
胸元で手を組み合わせてぎゅっと握り、あざとくメーベルにウィンクを飛ばした。
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メーベル
「……あぁ……」
その手は止まり、酒の味が奥に広がる度に、彼は感傷に浸るような顔つきでグラスを見つめる。味わい深いが故に、損得勘定で食事を行う事を放棄していた。
「君の入れたカクテルは、きっと特別な工程を挟むわけでもなく、一人の客に出した品物に過ぎないのだろう」
「だが、どうしてか俺の夜空を満天に変える。不思議だな」
「星天が満ちし未明の狭間。その道標となる心の奥底に、この味は存在証明に至る……」カチカチ(笑)
ガッ(懐中時計を鷲掴みにしてカウンターに押し伏せる)
「フィン、タイマーいるか?持ってっていいぞ」
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メーベル
\ヒョイパクッ/
「俺のだが???????」
「まぁそうだな。これでフィンが不利益を被るのは俺も後味が悪い。俺から注文通りであることを――」カチカチ
「俺が社長ではない事を訂正してくれるなら、オーダーした事を大袈裟にアピールするさ。あとちゃんと食い切って代金も払うし、そんな猫被った催促の仕方をせずとも、フィンの要望には応えるよ」
そうしてカクテルの入ったグラスに手を伸ばし、少量ずつ口に含む。
茶が来る前に少しでも減らしておくべきだ、と思考に奔ってはいるが――
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メーベル
(下地となった表層は依然変わりはしないが、不思議だ。面白いぐらいに表情がありありと変化する。ダイナーで働いているということは、齢は幼少ではないはずだが、子供の相手をしているようで可愛らしいな)
静の忽ち変化を成す表情に、笑みは崩さずに内心滅茶苦茶楽しんでいた。困らせてやろう、という思考ではないが、またその変化を見たいと心に想いながら、和服を揺らして給湯室に入っていくその背中を見送る。
「ダイナーに和装とは、随分と変わった召し物だな。ただ、違和感はない。不思議な空間だ」
「注文通りではあるが、予想以上のデカさで来たからな。まぁ解釈は人それぞれではあるものの、第三者の観測から客観視すべき事柄だったのかもしれん」
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フィン
「えええぇえぇえぇ~~~~……?!」
「おシズ容赦ないヨ~……ワタシ悪くナイ、メーベルさんの注文通りネ~……!」
ヨヨヨ、と芝居がかったような泣き真似をしながらカウンターから身を乗り出し、メーベルが食べ進めているバカでかいピザをひょいと一切れつまみ上げる。
「おシズが帰ってきタラ、メーベルさんも言ってやってヨ! これでワタシが怒られるのは遺憾デース……モグモグ ン!オイシイ~さすがワタシ」
八字に眉を下げて同情を誘うような声色。
そしてそのままごく自然な流れで、店側から提供した時点でメーベルのものであるはずのピザをごく当たり前のような顔をして食す。
バケモンである。
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「それで……茶は―――」
\この洋風の甘味に合うなら話は別なのだが/
「あぅ……」ショボ…
\頂こう/
「おお!」パァァァァ
\出来れば温度を下げて/
「あぁぅ……」ショボ…
\適温で頼む/
「おお!!」パァァァァ
”ジト目無表情が基本”なのか疑わしいくらいにクルクルと表情を入れ替えてみせる様は、どこかオモチャのようだった。
「うむ、うむ……! 心得た……! ではすぐに茶の支度をして参ります、しばし待たれ、よ……」
と、すぐにお茶を淹れにいこうとしたが、メーベルが戦っている(?)バカでかいピッザを見て瞳のハイライトが薄くなる。
「……フィン殿……今宵は反省会にございます。お客人にお出ししてよい限度を超えておりまする……」
フィンをじとりと見やり、給湯室へと引っ込んでいった。
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「おお……! な、なんと社長殿にございましたか」
「…………ウチのフィンが粗相をしておりませぬか」
フィンの嘘にまんまと騙され、静はややかしこまるように居住まいを正す。
あまり感情が浮かび上がらないジト目無表情が基本の彼女だが、この時だけはありありと心配が見て取れる。
フィンがトラブルの常習犯であったことは想像に難くなかった。
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フィン
「でショ、でショ? ワタシのスゴさが知れ渡れば、アッという間にスターに……」
「……アリじゃね? え、いけんじゃね? 絶対ダイナーより金入り良いっしょホテルのラウンジ……あれ? なんか私いつもスーツ着てる気がしてきた……」
メーベルに背を向け、急に真顔になるフィン。メーベルにはギリギリ聞こえない声量でぶつぶつと独り言を続け、
「客層からして愛想良くすりゃチップとかもがっぽがっぽ―――ア!!」
勢い良く振り返り、取り繕ったような笑顔を貼り付ける。
「イヤー失礼失礼! ちょっとアノ、立ち眩みシチャッテ! もーフィンったら、”めっ”デース!」
舌をちろっと出し、軽く握った拳でコツンと自身の頭を叩いてその場を誤魔化し切ろうとした。
同時に、背後からかけられた声に気づいて振り向く。
「ア、お静! Oh、休憩なら平気デース! せっかく楽しいお客さん来てるカラ、もうちょっとお話してから行きマース」
「この方はメーベルさんと言っテ、『星遣い』の……社長デース!!」(???)
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メーベル
そうしてフィンとの会話を続けていた中、視線の映像に淡い紫が映り込む。
(客――いや、従業員か?働き場に関与しているという事は、そうだよな。だが随分と小柄だ)
その形が徐々に輪郭を帯びてくると、静の背格好の解像度が脳裏で高まっていく。
(赤白で構成されたダイナーの装いの中で、藤の和装を取り入れる。遊女のような大胆な恰好だが、その実は侍……江戸の文化か。多様性に富んだダイナーだな。この奇抜な商売は間違いなく売れそうなものだが――)
そうして思考を張り巡らせている中、静から声が掛かり、「お」と口を開いた。下駄の心地よい音と共に跳ねる簪が、彼の視線の中で和の愉しみを表現していった。
「有難い心遣いだが、見ての通りカクテルを嗜んでいる。君が淹れる茶が、この洋風の甘味に合うなら話は別なのだが――」カチカチカチッ!
「ん~?……あぁ、頂こう。ただ、俺は猫舌なんだ。出来れば温度を下げて――」カチカチカチカチッ!
「適温で頼む。これほどの和を象徴とした少女の淹れる茶なら、雰囲気ごと楽しめそうだ」
カクテルはまだグラスの半分は残っている。茶のサービスが来る前に飲み干すのは、酒に特段強いわけではない彼にとってはやや酷なこと。
「フィン特製バカでかいピッザを今のうちに食らっておかねば……」ガブガブッ
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メーベル
(随分と表情を変える人だ。何千回と賞賛を浴びてきただろうに、一個人である俺の言葉にここまで反応を示すとは……なんだか俺の方が承認欲求を満たされているような気もする)
フィンの事細かに変化を成す表層のパーツに、小さく笑みを零す。
「君の腕前が世に認知されたなら、スターも間違いなしだな。高級ホテルのラウンジで、フォーマルスーツを身に纏ったフィンも夢じゃないな」
高揚を隠さない彼女の弾ける姿に、最早安堵さえ覚える。自身が先まで喉元で繰り広げた感動が、目の前の快活な女性による語りで起きた物語である事に前向きな乖離を感じており、その現実に面白さが滲み出てきたのか「フフッ」と口角を上げた。
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「むぅ……ベティ殿の怪力はどうしたものか……」
カウンターの向こう。フィン側の空間に現れてメーベルの視界にフェードインしてきたのは、小学生ほどの背丈しかない謎の和服少女だった。
肩で切り揃えられた淡い紫色の髪。後ろ髪は一束にまとめられ、後頭部でお団子になっている。
謎の和風少女と形容されるだけあり、洋風ダイナーの店内には適してるとは言い難い紫色を基調とした和装。
片肩をさらして肌を見せるように着崩しており、小柄な体格には不釣り合いにせり出た胸元には白い包帯がぐるぐると巻かれていた。
極めつけは腰の帯に差された一振りの小太刀。ここは飲食店。食事を摂る場である。そこで帯刀する謎の和服少女。なぜなのか。
「フィン殿、今宵も閑古鳥が鳴いておるようですね。店番は拙が代わりまする、どうぞ休息を―――」
と、フィンに話しかけていたところで、メーベルの存在に気づいてぎょっと目を見開いた。
「あ、お客人……! ちゃ、茶の”さぁびす”はいかがでございますか。いらぬ節介やもしれませぬが、酒精を召されるのであれば、茶も一緒に……ええと、”あるこぉる”だけ摂取するのは、身体に障りまする」
メーベルがカクテルに興じている様子を見て話しかけながら、カラコロと下駄を鳴らしてカウンターに近づいてきた。
icon
フィン
「わかりマスか、わかりマスか!!」
フンフン!と鼻息を荒くしながらぽっと頬を朱色に染める。
得意そうに笑う表情と、縦に開いた口から覗く八重歯が彼女の喜びを表現していた。
「メーベルさん、ほんっとお口が達者デース♪ そんなに褒められちゃったらワタシ浮かれチャッテ、仕事どころじゃなくなっちゃいますヨ!」
「ぜひぜひ通っちゃっテ!常連になっちゃっテー! メーベルさんのためならじゃんじゃん腕を振るっちゃいマスカラ~!」
テンション高く浮かれた様子で喜びを振りまいていたところ、スタッフルームの方から足音が近づいてきていた。
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メーベル
口に含むと、オレンジの瑞々しい酸味が弾け、その背後から夜のように濃いカシスの甘さが追いついてくる。明るさと落ち着きが同時に混ざり合い、ジュースのようでいて、確かに酒だとわかる余韻が喉に残る。
だが単純ではない。
オレンジの無邪気な味の奥に、カシスの影のような苦みが潜んでいて、飲み下した後にだけ、大人の味だと気づかされる。
それらはフィンのバーテンダーとしての腕前が存分に発揮された領域であり、言ってしまえばただの酒でメーベルの舌先に一種の思い出を残していった。
「……あぁ、これは染みるな……いつまでも飲んでいたい酒だ」
自然体の余裕のある笑みや、呆れたような口角でもなく、驚いた素振りでもない。
ただ、身体の力が抜け、フィンの提供したカクテルに対して真摯に向き合うような声色と表情を見せる。
「ただのカシスオレンジと侮ってはならないな。君の愛情という奴かい?一見さんにこんなサービスしたら、常連になってしまうぞ」
飲むのが惜しいとさえ思っているグラスを持つ指先の僅かな動き。
再び飲み込む角度にグラスを傾け、ちびちびと口内にその物語を含ませ、小賢しい程に少量で味を堪能していく。
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メーベル
「……」
キッチンへと向かい、滑らかな動きで材料や設備に手を掛けるフィンを眺める。
その所作一つ一つが、ダイナーの厨房の脈動を打っており、観劇に浸る者の眼差しに変貌していく。
「……あぁ、バーテンダーとしての腕前は、今の所作でそうなんだろうなと思えたよ」
「愛情のサービスも助かるよ。心の飢えを癒すには、飲食よりも人の気持ちが有効だ。別にメンタルやられている訳でもないんだがな」
目前にスライドしてきたグラス。僅かに表面が揺れるカクテルを眺め、その反射で僅かに縁取られているフィンの甘い顔立ちが目に飛び込む。
何かを期待しているようなその愛らしい表情に、目を伏せて「フッ」と笑んでみせ、円に口を当てて味を堪能しはじめる。
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メーベル
「おっと、運命をコネコネしすぎると倫理委員会からのお叱りが――いや、アイツらはカップ麺の端に付着した刻み葱レベルの存在感だから確かに気にする事も無いか……」
「しかしバーテン24年の内に、星遣いだった時期はどれぐらいなんだろうか。副業出来るなら俺もしたかったよ(?)」
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フィン
「―――さ! ご注文アリガトゴザイマ~ス! カシスオレンジですネ!」
「ワタシはバーテンダーとしてのキャリアが24年になりますカラ! 暴れる血糖値クンにトドメを刺すサイコーの一杯をご提供しマース!」
彼女の真紅の瞳がきらりと光り、勢いよく踵を返す。
キッチンの棚からシェイカーを抜き取り、同時に足先で低位置にある冷凍庫の扉を引き開ける。
  ザ ク    カ ラ ン ッ
ガラスがぶつかったような透き通る音を響かせ、シェイカーに氷を放り込む。
「ほ、ほっ―――」
大道芸かと見紛うようなシェイカーの躍動。
カシスリキュールとオレンジジュースを注ぐ手捌きすら手品のようで、蓋が閉じられたシェイカーが宙を舞う。
シャカシャカシャカ――――!
銀の筒の中で氷がリズム良くぶつかる音を心地よく響かせ、余裕そうに胸の前でシェイカーを振るうフィンはさながら熟練のバーテンダーだった。
「ほっ―――ヘイオマチ~~完成デース! フィン特製のカシオレ! 愛情た~~っぷり込めといたカラ味わって飲んでネ~♪」
愛想良くそんな軽口を叩きながら、グラスへ注がれた一杯をカウンターに置き、指先で押し出しメーベルに提供する。
「フフ~ン♪」
自信満々そうにカウンターに両肘をつき、上目遣いに無遠慮な視線を向けながらメーベルの反応を窺っていた。
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フィン
カウンターに肘をつき、彼の語る運命への思いに静かに耳を傾けていた。
「フフッ。 たとえ最善でなくトモ、それはオレが選んだ運命だかラ―――みたいナ?」
「そういう気持ちならワタシもよくワカルかもデスネ~。星遣いらしく、よく好き勝手に運命をこねくり回してるカラ」
フィンはそう言って、よく回る舌を”べっ”、と出し、片目を閉じながら煙に巻くようなウィンクをメーベルに向けた。
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メーベル
「ありがとうフィン。俺はまた別側面から天体への懸念を有意に押し上げる事が出来る」
「ただ一つ君に示す事があるとすれば、俺という個は決して「カワイソウ」ではない。俺の選択したその事柄、そして計測器の示した道から外れた物語も」
「俺自身は決して優劣など付けず、俺の歩んだ道としてその価値を心に刻める事。確かに未来をよりいい物にするべく、俺達星遣いは運命調律に励んでいるが、こんなボンクラ(計測器)に示されずとも俺達は運命を選ぶ立場にある」
「あぁ、何が言いたいかというと……フィンの観点は俺の好みだ。その視点を提示してくれたのは、結構嬉しいことだな」
フィンの言葉を「心配してくれた」と捉えており、その冗長な物言いの中で自分の感情を発露させる。先までの飄々とした笑みよりかは、その綺麗めな眉を八の字に曲げて、逞しくも強い声色で、彼女に「心配ご無用」という感情を伝えようとした。
「だとさ、計測器。お前を改造してシェイカーにしても良さそうだぞ」
フィンのおだてにフッと笑い、懐中時計を再び数回振る。
そうしてフィンのニコやかな言動を受け、目に見えてわかる営業とは云えど、心を許すかのように目を伏せた。
「味の濃いものをぶち込みまくったから体内で血糖値がクソ暴れ始めた。追い打ちをかける意味でアルコールがいい(?)君のシェイカーとしての腕も堪能させてもらおうかな。カシスオレンジを頼む」
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メーベル
フィンの示した現実と未来への回帰地点。現時点で計測器から示唆された"今"が、彼女の表情や声色から快く思われるものではないものではないかと感じ取る。
それは星遣いである彼にとっては仕事上通過する感情であり、同時に無神経にまでなれる程に当たり前であった事象。それ故に――
「……」
彼女の同情の念に、物珍し気に口をぽかんと開けて静止する。
「驚いた……なるほど……確かにその観点で考えれば、俺は感じ取る必要のない最善ではない道の行路というものを突き付けられてしまっているのか」
「計測器は常に俺により良い未来の為に天体を示すが、それは本来訪れる必要のない運命の調整……感慨深いと同時にムカついてくるなコレ」
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フィン
一瞬の静けさを見せたフィンが、すぐさまニパッと咲くような笑顔を見せる。
「ワーオ! メーベルさん、とっても素晴らしいシェイキング!」
「ウチのシェイカーを持たせたら美味しいカクテルを作ってくれそうデース!」
「案外お茶目なトコもあるんデスネ~、ギャップすばらしデス……! アーそうデス! 飲み物どうしマスカ? お茶~? アルコ~ル?」
にこにこと人好きのするような笑みを浮かべ、懐中時計に制裁を加えている彼に注文を催促した。
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フィン
「―――常に”もっと上手くやれたはず”を突き付けられるのに、この”今”は違う。……結構しんどいかもね」
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