カオスドラマFor

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コトハ
「……?」

ルシェの言動に理解を示せないのか、首を傾げて「?」をいくつか浮遊させた。

「し、祝賀会……」
「なんていい響き……」
「ホーンラビットのバターソテーとか、マンドラゴラの素揚げも……」
「あぁ、楽しみ無限大~」
「愉しみの為の楽しみは、あるだけ幸せ~」
「早く帰ってフィリカさんにお願いしましょう~」

やや立ち直り、足幅に異常が無いかを確認する。
何処か逞しく歩くルシェの背を眺め、この後の食事の事を考えつつ彼の後を追っていった。
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ルシェ
「もちろん! 情報屋として信用は大切だからね」
「君こそ、世の中を気にしているわりには……どんな世の中でもしたたかにやっていけそうな気がするね」
「褒めてるよ?」

手元を拭う仕草に疑問に思うことなく手を取ってくれたことに満足そうに笑い、彼女を支えながら立ち上がるのを手伝った。

「いやぁほんと、君って『忘れてくれたかな~』って思ったことをことごとく覚えているというか……!」
「あぁいいとも! 盛大に、僕たちの初依頼成功の祝賀会と行こうじゃないか!」
「じゃあ早速完了報告に―――……?」

彼女の様子に首を傾げる。
どこか落ち着かない様子のコトハを見て、いくつか理由を考えてみるが……

(……お手洗い行きたいのかな?)

ありきたりな理由しか浮かばなかった。

\あぁ……見えないや……/

「!!!!」

それから、以前どこかで聞いた”視界不良”。
その理由を知るルシェは再び締まりのない表情でにこにこと笑った

(それを余すことなく見つめるには……膝枕だ……いつか必ずコトハちゃんに膝枕をしてもらうぞ……!!!!!!!)

「いやぁコトハちゃん……それは計算なのか、天然なのか……」
「―――いやいい!! 万が一罠でもいい! 罠でも良いんだ!!」
「ああ^~~元気出てきた……!!」
「さあ行こうかコトハちゃん! 祝賀会が僕らを待ってるよ!!」

不純な決意を胸に秘め、出口へ向かって歩き出したのだった。
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コトハ
「う……」
「る、ルシェさんも名誉を気にするんですね……(ぁ」
「で、では、その名誉を守ってあげる為にも」
「こ、この手は、取ってあげましょう~」
「世の中厳しいだけじゃない~」

視線の外にあるルシェの笑みや、その手。
決して其方に瞳を向ける事は無いが、彼がどんな顔をしているのか、手が何処にあるのか、
どちらも把握している様子。
手を取ろうとした時。

「……あ、少々おまちを……」

先程自身の濡れた表面を触れていたせいか、手元には妙な艶があった。
其れを召し物の一部で雑に拭き取り、フーと息を吹きかける。
そうしてやっと彼の手に触れ、やや指先に力を込めて握り込み、立ち上がった。

「で、では……責任はルシェさんの方にあるということで……」
「件のパーティ計画についても契約は成立済みでして……」
「私にもルシェさんにも非は無い事を前提としてクエストの完了報告に戻りましょうか~」
「……うぅ……」

立ち上がっても尚、内股気味に片手で下半身に手を伸ばしている。
ただ、その行動に意味を持たせたくはないのか、小刻みに身体を振動させながら、
手を離しつつ姿勢を正そうとする。

「あぁ……見えないや……(´×ω×`)」

結局猫背になる。
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コトハ
「あぐ……」

髪越しに伝わる人の体温。
その心地よい温度感に、より視線は横へと逸れていく。

「か、髪は女の命ですよ……」
「こ、交渉材料の一つとして~許して差し上げます……」
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ルシェ
「!(クソ!?)」

コトハの反論に目を丸くして驚く。
自身の過失を棚に上げたやや強引な反論だが、その内容には頷くべきところもある。

(『それは違うよ』ってカットインできたら良いんだけど)
(まあまあの筋を通してきたね……しかもアフターケア込み)
(ふふっ、やるじゃないかコトハちゃん)

「―――あっははは! そうだね。くわえて僕はこのパーティのリーダーだ」

楽しそうに笑いながら、地べたに座るコトハの前まで歩み寄る。

「経緯はどうあれ、起きてしまったことの責任は僕が取るべきかもしれない」
「君の言い分はごもっとも。悪かったのは僕の方だね」

そう言いながら、彼女の頭にそっと手を置く。
戦闘で乱れた髪をそっと梳くように整え、指先で軽く撫でる。

「さて、責任の所在も決まったことだし」
「世の中は甘くないけれど、どうか僕の名誉のために手を取り合ってくれるかい?」

頭に置いていた手をそのまま差し出し、ふっと笑う。
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コトハ
「で、ですが、わ、私も鬼ではない~」
「私からもゲンさん含め、受付の方々には何も言わないので~~~」
「どうかここは穏便な取引を~~~」
「よ、世の中意外と手を取り合えるかも~」

なんとしてでも自分の評価を下げたくない。
そしてルシェの評価も下げない事を前提として、手を打とうと必死に彼を説得しようと試みる。
その焦りや間延びした語尾など、あからさまに取って付けた言葉の上っ面を並べただけの台詞は、
決して交渉材料として強いものではないが

(わ、私は意外と交渉上手かもしれない~)
(これはパーペキな判断材料では~?)

本人は既に上手く行く前提で事を運ぶつもりであった。
なんなら立場的に自分が上であるとさえ思っている。
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コトハ
「くっ……!」
「クソ……!!」

地べたに座っている体勢ではあるものの、
地団駄を踏んでいるような表情、そしてブンブンと手を上下に振っている。
上手く行っていない事にやや感情的になりながら、首をぶんぶんと振った。

「え、えと、えっと」
「……!」
「わ、私は直帰する事を元々提案していましたので~」
「この脇道に立ち寄ってしまったのはルシェさんの好奇心から来るものです~」
「で、ですので、今回の不祥事の発生原因はルシェさんってことになるんです~」
「そ、そうです。そうに決まっています!」
「世の中甘くない~!」

やや高揚気味の反論。
というか、他責。
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ルシェ
「はは~ん……😏」

ジト目かつ片頬で笑い、コトハの意図をなんとなく察する。

(そうか、擬態したミミックに襲われた点は冒険者としてのコトハちゃんにとってマイナスなのか)
(なのでこの委細は伏せておいてほしい……と)
(ふふっ、あんなに身振り手振りでお願いしちゃって……可愛らしいなあ)
(―――……ちょっと意地悪しちゃおっかな)

やや意地の悪い笑みを浮かべたまま、わざとらしく顎に手を添える。

「う~~ん……さて、どうしたものだろうね?」
「僕的には情報で商売をする者として、事実を都合良く削ったりするのは心苦しいんだけどな~~~?」

どう見ても心苦しそうな顔ではない。

「ギルドに貢献する名目でミミックの情報を伝えることは賛成なんだけど」
「やっぱり委細も伝えておいたほうが……いいんじゃないかな~~~……?」

いたずらっぽく目を細める。
ちらりとコトハの様子をうかがいながら、にやりと笑った。
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コトハ
「――!!」

すると何か焦るような表情に移り変わる。

(パーティメンバーを差し置いて宝箱の確認)
(中身はミミックで襲われてしまった)
(こ、これを報告されたら、ギルド内での内部評価に罅がついてしまう)
(さ、避けなくては……私の高い(?)評価を傷つける事だけはしたくない~)

「あ、あの、ルシェさん……」
「そ、その、こ、今回のこ、こと、あの」
「依頼達成報告の際に、あの」
「ミミックに襲われたっていう委細は、その」
「決して伝えないで欲しいな~って、ね?」

唐突に先まで起きていた不用心な出来事を隠して欲しい旨をルシェに伝える。

「えと、ミミックが居た事は伝えていいと思うんですけど」
「ほら、今後来る冒険者たちの為にも」
「じ、情報。そう!情報伝達~」
「今後同じ過ちを繰り返さないように、ギルドに貢献する名目で~~~」
「伝えるべきは安全確保~~~」

隅っこで縮こまったまま、ルシェへと身振り手振りで懇願しはじめた。
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コトハ
「……は、はい……外傷はありません……」

ミミックの口内に居たはずだが、特に粘液の類も被っておらず、
ただ挟まれただけだった模様。

「……が、外傷は……」
「た、ただ……ちょっと……ぅ……」

体育座りで縮こまっていたが、割座となって脚を閉じる。
足の付け根同士の接触箇所に手を当て、何か言いたげで口をモゴモゴと動かす。
明らかに何か物議をかもしたいような雰囲気もあったが、
それとは別に隠したい事もある、そんな曖昧な空気。
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ルシェ
「―――さて!」

流れる鼻血を拭いながらパッと表情を切り替え、勢い良く立ち上がる。やや前かがみに。
隅に縮こまってしまったコトハを見やり、出来る限り刺激しない表情や声のトーンを意識する。

「苦しくなんてなかったさ! 事故なんだから気にしないで!」
「そもそも君のクッションになれる役割に感謝こそすれ、怒るような要素なんて一つもなかったよ」
「ご褒美もちゃんと頂いちゃったことだしね」

遠慮するような素振りすらなくニンッと歯をむいて笑ってみせた。鼻の下が伸びている。

「それより、怪我はしなかったコトハちゃん? そこだけ心配かな」

ミミックの口(宝箱のフタ)を足で踏みつけながら、コトハの様子を案じるように声をかけた。
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ルシェ
「…………」

五体投地。
書いて字のごとく、大の字でぶっ倒れたまま洞窟の天井を眺めていた。
目は虚ろだが、どこか満足げにも見える。
そのまま数秒間ほど何も言わずに天井を見つめ……。

「天国は……ここにあったのか…………」

ぼそりと、しかししみじみと噛みしめるような声色で呟いた……。
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コトハ
「――ってて……る、ルシェさん、引っ張ってとはいったけど」
「そ、そこを引っ張るなん――て――」

ルシェごと倒れ込んだ姿勢。
彼女もまた、ルシェの上に倒れ込むように吹き飛ばされており、
体勢を立て直すべく立ち上がろうとするが、
その時の姿勢に眼が往く。

「――」

自身の双丘でルシェの顔面を覆いつくすような、そんな光景。
ジェルのような柔肌が、彼の顔の形に合わせるように変化しており、
心臓の音が破裂するような勢いで彼に鳴り響いていた。
彼女は一瞬理解に及ばず、暫しその体勢を続けた。
そして、来たる呼吸がその狭間に熱を届けると

「――ッッ/゙/゙/゙/゙/゙/゙/゙/゙ッ~~~!!?!?!?」

やかんが沸騰するような熱の音。
彼女の顔はみるみるうちに赤みを灯し、
慌てて立ち上がってズササ!と部屋の隅に縮こまった。

「ご、ごめ、ごめんなさい!!」
「苦しかったですよね、すいません、すいません……!」

定まらない視線に加え、プルプルと羞恥から来る震えが止まらず、
乱れた呼吸でガチガチと身を振動させ続けた。
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コトハ
「――ッ!!!」

ルシェが手を掛けた部分の皮膚や脂肪がむにゅりと変化を表す。
視野外から来る接触に対して、身体は自然と敏感になり、その柔肌がビクリと振動した。

「ち、ちょ!さ、触る場所はそこじゃなくて、あ、脚が――」

だが、ミミック内に収まる上半身。
そのような言葉は内壁に吸い込まれ、ルシェに届くことは無く、
彼に力いっぱい握られた部位の質感が快楽として彼女の全身に稲妻を轟かせる。
内側から何かが突き破ろうとするような激しい熱が走った。
心臓が跳ね上がり、呼吸が止まる。

「ひゃぅ――ッ!」

掛かる引力。
ルシェの渾身の力と、ミミックの拘束による引っ張り合い。
自身が今、ルシェから見てどのような姿なのかを想像してしまう。

(や、やだ……!は、恥ずかしい!!)
(こ、これ、顔、合わせ、らんないって!!)

グググ、と徐々に身が後ろへと引っ張られる。
柔い肌はルシェの手元から体温を奔らせていたが、
その熱は更に更に熱くなっていく。
それが触れられている事による科学的なものではなく、
感情的な熱が込められているものだった。

「~~~ッッ!」

スポンッ!ダダン!!

そうして彼に引っ張られ、見事にミミックからの脱出が叶った。
その時の衝撃により、ルシェごと後方へと吹き飛び――
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ルシェ
「も、もっと強く!?」
「あいや、ご、ごめん! 引っ張るのをだよね!!」

(変な意味に脳内変換しちゃうのも仕方なくない!?)
(僕だって多感な時期だし!!)

心の中で言い訳をしながら、汗で滑りやすくなったコトハの脚をもう一度掴み直す。
が、ばたつく彼女の肢体が腕に触れ、目の前に繰り広げられる扇状的な光景にくらくらとする感覚になる。

(し、しかしとんでもなく肉感的すぎる……)
(発汗でより艶というか、色気が……それに、このむちっとした感じも―――)
(―――ってこら!!!)

ペチン!と自分の頬を平手打ち。

(しかし、脚を掴もうとも彼女の汗で手が滑る……これじゃ上手く抜けない)
(脚だけじゃダメだ、もっとしっかり掴まないと……)
(…………)
(―――コトハちゃんソーリー!!!)

パッと脚を掴む手を離す。
そして意を決するように、彼女が咥えられている根本―――腰回りから臀部にかけてを、抱えるようにがっしりと掴んだ。

「救出! これは救出だからね!」
「せぇ、の―――!」

彼女を抱える腕にぎゅっと力を込め、思い切り踏ん張った!
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コトハ
Σビクゥッ!

掴まれたのは脚部。
だが、視線を奪われている状況故、外部からの接触に対して敏感になっているのか、
脚に触れられただけでもその反応は多大なものだった。

「~~~~~~!!!!!!」

ルシェに引っ張られはするものの、そのミミックの固定する力は強く、中々抜け出せない。
焦り故か、ジタバタと脚を動かしてしまう。
彼が持ってくれているにも関わらず、抜け出そうと暴れる様。
それ故か、時折、腿や臀部に近しい柔肌がルシェの腕にパチンと優しい衝撃として当たったりもした。

「💦💦💦」

焦っている。
下半身の発汗具合が異常なまでに進んでおり、より艶が潤沢に潤い始める。

「モゴモゴ……ル、ルシェサン!」

僅かに声が聞こえるようになってきたのか、彼の名を叫びながら身を悶えさせる。

「も、もっと強く引っ張ってもらっていいですか!!」
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ルシェ
\~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!/

「わはっwwwwww」

コトハに悪いと思いながら、くぐもったどこか間の抜けた悲鳴に思わず吹き出してしまうルシェ。
やや脱力し、コトハとミミックに近寄りながら段々と険しい表情が緩んでいった。

「噛みついたりする様子はない……」
「そうか。ここは初級のダンジョン……良かったぁ、本当に……」

そう安堵の息をつきながら、あらためてコトハの方へ目を向け―――逸らした。

(………………)
(……直視できないや)
(ちょっと身体のラインが強調されたり、たまに男の夢(※意訳)がチラ見えするときは心の中でガッツポーズだのしてた時はあったけど……)

目線を戻り、目の前で下半身をばたつかせるコトハを見て眉間を指で軽く抑えながら目を逸らした。

(わはは! 直視できない!)
(なんか生々しい……!)
(すんごく言葉を選ぶんだけど、ぶっちゃけ変な気を起こしてしまいそうだよ!!!!)
(コトハちゃんの身体はちょっと刺激的すぎる……)
(とはいえ、ずっとこのままなのは彼女が可哀想だし……助けてあげないと)

「―――ほら、コトハちゃん暴れないで! 今出してあげるからね!」
「ごめんね、ちょっと脚触るよ!」

そう言いながらコトハの真後ろに立ち、脚を軽く掴む。

「それじゃあ行くよ! せーーーーのっ―――!」

ぐい、とコトハの脚を引っ張った!
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ルシェ
「―――っ」

目を見開き、思考がフリーズする。
コトハがミミックの罠に引っかかってしまった。
数秒後に訪れる悲劇の光景が脳裏をよぎり、反射的に駆け出していた。

「コトハちゃ―――!!」
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コトハ
「~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!」

ミミックに囚われるコトハ。
上半身はすっぽり入り、その表情や声は外に届くことは無い。
そう、其処にあるのは彼女の下半身。
恐ろしく防御性能を無視したスカートから見える、
艶のある柔肌に締め付けられるようなもも肉で構成された弱点。
それが地から天へと突き出されるようにはみ出て、
ルシェの方へと惜しみなく向けられていた。

「~~~~~!!!!!!!」

水の中に潜ったような悲鳴が響く。
彼女が何を言っているかは分からない、そして都度都度暴れては、
その脚部から曲線は左右に揺れ続けていた。
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ミミック
バコンッ!

蓋を開けたコトハの上半身を、一瞬にして咥えてしまう!

しかし、ここは初級ダンジョン。
其処に潜むミミックの攻撃性は著しい程に低く、彼女を咥えはしたものの、
固定するだけで噛みついたりはしなかった。
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コトハ
――――

「る、ルシェさん!」
「これは恐らく――いえ、ほぼ確実にアイテム入りの宝箱です!」
「私が現場で培い~~~且つ元々潜在能力として所持していた~~~『長年の勘』『第六感』『未来予想』~~~」
「これらが間違いないと叫んでいます!」

テンションぶち上げた声色で、部屋中央からルシェへと興奮気味に声を掛ける。

「あ、でも宝箱の中身は見付けた人のもの……」
「……さ、先に開けますね(ぁ)」

彼に何も言わせないように、大手を振って宝箱に手を掛け、

「さて、箱の中身はなんだろな!」

その蓋を開けると――
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駆け出しの冒険者
「いやー、いらんアイテムとかインベントリにしまい切れなくてさ」
「その辺に捨てんのももったいないじゃん?」
「だから宝箱に入れてみたりしたんだよな~」
「ほら、中身が空の宝箱見つけるよりさ、後から来た奴も幸せだろ」
「俺が先輩になるなら、そんな思いはさせたくなくてさ~~!」
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名無しさん
ある日の月亭――
それは酒場で聞こえた会話の一部を、彼女が盗み聞きしていた時のこと
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コトハ
「……!」

すると、とある日を思い出す。
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コトハ
「え、え~っと……」
「記憶の限りでは空いてた~はず~なんですけど~」
「ん~……」

忍者刀を抜身にして、部屋内部の入り口の表面に沿って刀を当てていく。
入室時のトラップが無いかを確認しながら、まずは先陣を切って内部へと入り込んだ。

「なんでだろ……再補填とかある?」
「初級ダンジョンだから、成功体験を積んでみよう……的な?」

中央の銅箱の周りをうろうろと歩む。
四方八方から剣先を当てると、コンコンと金属の音が響く。
一切の反応を見せないその宝箱は、確かに宝箱の装いであった。

「気配も感じない。無機質です~」
「響き方からして、内部に何かあるのは間違いないですね~」
「……」
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ルシェ
「―――……おや」

コトハの疑問符に足を止め、彼女と一緒にルームを覗き込んだ。

(未開封の宝箱……)
(こんなにわかりやすい場所で、しかも本来なら『銅箱が空いていたはず』だと)
(……これは少し変だね)

「……コトハちゃん。本来なら確かに空いていたはずなんだよね?」
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ルシェ
「ふんふん、なるほど……」
「あのドラゴンやネームドの魔物が絡む危険度☆5の依頼をね~」
「そんな子を相棒にできてるなんて、僕はなんて幸運なんだろう!」

(ソロ専だったんだよね? って指摘したい気持ちはしまっておこう……)
(彼女の気分を削ぐのも野暮だろうからね)

感心したようにコトハの話に頷いて楽しそうに聞き、微笑ましそうな表情を浮かべていた。
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ルシェ
(なんてチョロいんだ!!! チョロかわすぎるよ!!!)

気合の入り方が違うコトハに内心で大騒ぎのルシェであった。
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コトハ
来た道の帰り道。
薄暗い洞窟の中を颯爽と歩きつつ、道中で倒した魔物の残骸を横目に安全確認を施す。

「先ほど教えた通り、このダンジョンは見習い……駆け出し冒険者が腕試しするところです~」
「マップ構造の把握や、最奥地から入り口までの最短経路をたどれるか、覚えているか」
「どんな魔物が何処に生息しているか」
「ほ、他のダンジョンがこの通り~とはいかないのですが」
「この地で学んだことを応用できるように、月亭では危険度☆1ながら重要視されているんですよ~」
「わ、私はこの地をすっ飛ばして危険度☆5を担当していました~~~」
「将来有望過ぎて、引く手数多~~~」
「人気者~~~困った困った~~~」

初級ダンジョンの価値を示しながら、ルシェの探索に付き合う。
ルシェなら聞いてくれるだろうという激甘な推測をして、自己顕示欲を満たしていた。
そうして光の揺らめく脇道が見えると、其処を指さしつつ案内する。

「――この脇道には古びた銅箱がありまして、私が来た時には既に――」
「……あれ?」

中には6畳間程度の広さのルーム。
その中央に鎮座する箱は、未開封であった。
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コトハ
「行きましょう」

キラリ、と目元を光らせる。
その表情は真剣そのものであり、
食事が絡んだ事によりルシェの要望に応える事を前提とした斥候を務める。
その意気込みが眉や目元に表れていた。
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ルシェ
「なので僕としては、自分の目で『何もなかった』ことを確認しておきたいのさ」
「ひとつの確かな情報としてね」

(というのは建前で……ほんとは、せっかく来たんだからもちょっと探検したい……)

ガキである。

「それにだね~……」

やや声のボリュームを落とし、コトハの耳元に顔を寄せる。

「付き合ってくれた暁には……ミニパーティーどころじゃない、パーティをしたっていい」
「好きな食べ物、頼んでいいんだよ……だってパーティだよ、パーティ……」

瞼をわずかに下ろして口元に片手を添え、まるで悪魔の甘言を囁くようにコトハを食べ物で釣ろうとしていた。
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ルシェ
「なるほど……君の提案はもっともだね」
「確かに徒労に終わる可能性が高いだろうけど……今コトハちゃんがパーティを組んでいるのは誰だったかな?」

くっくっくっ……と、意味深に肩を震わせ……

「そう、君の目の前にいるのは―――素敵で無敵なちょっと怪しい情報屋さんだよ!?」

どこかちょっとコミカルな効果音とともに集中線がルシェを囲い、
本人はドヤ顔で胸を張りながら、ヒラリと外套を翻らせていた。手で。
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ルシェ
(か~~~わいいなぁこのコ……なんって褒め甲斐のある……!)

拍手しながら、コトハのややだらしなくも愛嬌のある表情を見てご満悦なのであった。
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コトハ
「た、探索……」
「このダンジョンは見習いの修練場としても最適でして」
「マップ構造は周知されているんですよね……」
「つ、つまり、あらゆる宝箱とかは既に開放済みなんですよ~」
「徒労に終わってしまうかもしれません~」

パッパと服についた汚れを振るい落としながら、
快活に笑みを向けるルシェへと不安げな表情をおくる。

「か、帰りましょ~はやく」
「お腹も空いたので、報酬を使ってミニパーティーを――」
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コトハ
「で、でへへ……ほ、褒められた……(*´﹃`*)」

褒められる事に慣れていない、だが憧れは持っている。
それ故、ルシェの拍手とその言葉を受けながら涎を垂らしてまでモジモジと身を揺らした。
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ルシェ
「うん、戻ろっか!」

感心を惜しみなく表情に出し、コトハの方へと歩み寄る。

「情報については、大収穫! ―――って感じじゃないけど、僕的には来て良かったとかなり思ってる」
「ダンジョン内部についての詳細なんて、基礎的な情報であったとしていくらでも欲しいからね」
「それに何と言っても、コトハちゃんの実際の動きが見られたのが良かった!」
「僕の想像よりずっと頼もしかったよ、すごいじゃないか!」

本心からの言葉をコトハに向け、パチパチと拍手をする。

「それで、どうしよっか? このまま直帰してもいいんだけど……」
「戻りながらすこ~しだけ探索しない? なにか見つかるかもだし!」
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ルシェ
「―――いやぁ……」

コトハが魔物を斬り伏せて素材を回収する様子を、少し離れた場所から眺めていた。

(……速いなぁ)
(危険度☆1で突入できる脅威度の低いダンジョンとはいえ、)
(技量に余裕を感じるし、残心……って言うんだっけ?)
(今、自分は危険な場所にいるのだという自覚……ふむ……)
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コトハ
「え~っと……こ、これかな?」

魔物からドロップした素材を手に取り、収集を終える。
薄暗いダンジョン内でも、目当ての素材を入手するその様は、
暗がりに生きる忍者のようであった。

「夜型にとって、暗闇は大差なし~」

忍者である理由はあまり関係なかった。

「探索依頼の主題は完了しました~」
「ルシェさん、も、戻りましょっか~」

素材を集める探索依頼。
危険度☆1の簡単な依頼ではあったが、
そのスマートな遂行は迅速な処理を披露していた。

「今回の報酬、あんまりないですけど……」
「ど、どうです?付近のダンジョンの様子」
「な、何かいい情報でも見当たりましたか~?」
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コトハ
「て、敵性反応消滅~」

振るいあげた忍者刀で空を切る。
清めを施しながら納刀し、目の前で魔物が消滅するのを目視して周囲を警戒していた。
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魔物
「ピギャッ!」

洞窟の陰湿とした空気の中、乾いた悲鳴が響いた。
忍者刀の鋭い切先が、魔物の身体を真っ二つに切り裂く。
魔法生物として誕生した飛行体が、ダンジョンの地に落ちて消滅する。
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名無しさん
―とあるダンジョン(洞窟)ー
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シグ
「優秀な助手、ねえ」

先までのてんやわんやな状況を思い返し、なんとも言えない顔で肩をすくめる。

「保護者にでもなった気分だったが……ま、役に立ったんならいいさ」

ふっと笑い、彼女の感謝に軽く手をあげて応える。
調合室の片付けを終えて出ていこうとするカリスタを見ていたが、
『酒を提供する』という言葉にぴくりと反応した。

「房に帰って一眠りしようかと思ったが」
「酒を奢るときたら話は別だな」

やや口角を上げながら、カリスタの後を追う。

「行こうぜ。お前と飲む酒はうまい」
「今回は普通に酌してくれよ、先生サマ」

わずかにからかうようなニュアンスを含みながらも楽しげに言い、
二人で並んで調合室を後にしたのだった。
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カリスタ
「付き合ってくれて感謝するよ、シグ」
「まぁ今回の錬金薬の試薬テストについては、依頼というよりも前回の出来事の帳消し」
「私の感謝だけで済ませておくれ」

調合室の片づけを追えると、普段通りの背格好、袖の余り方で部屋内を歩き回った。

「……さて、今日の分の依頼相談をしなくてはな」
「前倒しで今後の依頼調査に於いても声がかかるはず」
「流石に顔を出さねば困る者もいるだろうし」
「私は酒場に戻るよ」
「君がどうする」
「もし来るなら、飯は奢らんが、酒を提供するぐらいはしてやるぞ」

そうして調合室を後にしながら、シグへと声色を変えて話かけていたのだった。
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カリスタ
「あぁ、だいぶ……」
「服を着た事よりも、君の腕の中に居た事で体温が大分戻ったのだろうな」
「飲料水にまで落とし込んだ氷属性エーテルの氷結作用に対して効果的なのは、人肌の可能性がありそうだ」
「最も、こちらも希釈数値を改めよう」
「実戦投与可能にまで実験を重ねなくてはな」

椅子から立ち上がり、使用したフラスコやビーカーを布巾の洗面所へと投下する。
実験台の本に書いたメモや、逸れた資料などを纏め、白衣を戻した。

「失敗には終わったがこれも成功までの道筋」
「一人でやったら、余計アホな絵面になっていただろうけれど」
「優秀な助手が居てくれたお陰で実りのあるものとなったよ」
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シグ
「こっちから仕掛けてみりゃ歯牙にもかけねぇ」
「ったくよ……まったく大した女だぜ」

身体をよじってこちらを見上げる挑発するような仕草をされ、眉間に指を当ててフイと目をそらす。

「興味なんかあるに決まってんだろ」
「だがこんなとこで手ぇ出すのは主義に反するってだけだ」

開き直るように言い、肩をすくめて見せた。

「高い評価をありがとよ」
「お前の言う通り、ある程度理性でコントロールできる」
「衝動的に襲いかかるなんて真似はしねえから安心しろ」
「……少なくとも、相手が自分から脱ぎ出さない限りはな」
「先生サマよ」

先の事故をしれっと蒸し返しつつジト目を向けた。

「―――まぁいい」
「その様子だと、もうだいぶ楽になったか?」

彼女の腕がぷらんと落ちてリラックスした様子を見て、体調を案ずるような言葉をかける。
カリスタの心の中で苛烈に暴れ回る声には気づく由もなかった―――。
icon
カリスタ(内心)
(何言うとんねんこいつはぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!!!!!)
(フッツーにセクハラやろがい!!!!!!!!)
(正直身長とか知りたくないから正確な値は出せんねん私も~~~!!!!)
(絶対教えるか!!でも余裕ある感じは出しときたいな~)
(見られる分には慣れてきたし……まぁ触られなけりゃどうとでもなるマインド)
(少なからず欲情抑えて助けてくれたわけだし、多少は『大人』の演出をしてやろう)
(感謝しておけよシグ!!!!)
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カリスタ
「え」
「……?」
「胸部の視診でもする気か?」
「わからん。測定したこともないし、測定したからといって」
「私の着れる衣類が増える訳でもあるまい」
「協会のスーツは望む体型に変化するものだった故、制服の概念も私にとっては薄くてな……」

シグのセクハラまがいの発言に対して、淡々と答える。
さも、自身の身体を見られる事に対して然程抵抗が無いのか、
「何をいまさら」とでも言うようにぽかんと口を開けていた。

「フィリカといい勝負じゃないか?」
「ただ仮に採寸して正式な数値が出てきたとしても……」
「聊か教えるのは恥じらいが塞き止めるかな」
「見られたところで、最早例の酒場で慣れたものだし」
「……なんだ?興味でもあるか?」

椅子に腰かけたまま、身体を若干捻る。
動きに合わせて体に張り付いたローブは繊維を鳴らし、胸部の皺がより一層目立つ。
足を組み、首を傾げてシグを見上げた。
幼さを彩った身長に不釣り合いの胸部と、猫のような妖艶な笑み。

「存外ケダモノだったりするのか」
「いやどうだろうな。君は理性が働いている」
「存分に襲い掛かる瞬間などいくらでもあっただろうに、こうして私の体温迄も戻してくれたのだ」
「そんなことはないだろう。そうだろう」

フッと笑ってみせ、握りしめていた外套から手を離す。
袖の余った腕をぷらんと下ろして、リラックスしはじめた。
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カリスタ
「おっつ……」

シグに抱えられ、宙に浮いたかのような感覚に覆われる。
彼の腕の中で伝わる体温が、彼女の表面の温度を僅かでも戻していた。

(やれやれ、此処まで介護されるとは思わなかった)
(誰かを抱える事はあったが、まさか私が荷物になるとはな……)

そうして腰かけた椅子で、彼に身を委ねて衣類を着用していく。
最後の一枚、彼の外套が優しく肩から掛けられると、それを手繰り寄せるように肩に手を添えた。

「気の利くことだ」
「そして幾度、君の前で醜態を曝せば気が済むのやら……」

自虐的に微笑みながらも、何処か楽し気に口角を上げ、
シグを見上げながら外套をぎゅっと握りしめた。
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シグ
「……」
「にしてもお前、さっきの―――」

じ……とカリスタの顔と、ローブと外套に包まれてなお主張する彼女の胸元を見つめた。

「ブラかなりデカかったな。何カップなんだ」

シグから飛び出たのは、これまでの気遣いも台無しにしかねないデリカシーの欠片もない発言だった!
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シグ
「はぁぁぁあぁあぁあぁあん……!?!」汗汗汗
「き、着せろだぁぁぁあぁあぁあ……!?!」

素っ頓狂な、唸るような声を絞り出して大量の汗を顔全体に浮かべた。

「ったくこの野郎……暑いだの寒いだの忙しいヤツだな……!」
「お前面白すぎるんだよ……!」

さすがに戸惑っていたが、腹をくくったのか彼女が落とした衣類を拾い上げる。

「もう見ない努力はしねえからな」
「ちょっと動かすぞ」

身をかがめて彼女の膝元に手を差し入れ、そのまま掬い上げるようにお姫様抱っこする。

(軽……)
(体重の2割くらいは胸に持ってかれてんじゃねえか…??)

カリスタを軽々と持ち上げたまま椅子まで運び、ゆっくりと座らせる。

「座ってな。立ったまま震えてるよりゃマシなはずだ」
「手ぇ借りるぞ」

座らせた彼女の腕を持ち上げてローブを通し、ひとまず服を着せ終えたのだった。

「これも羽織っとけ。今日は1日待機だったから汚れてねえ」

自身の外套も取り払い、カリスタの肩にふわりとかけて暖を取らせる。
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