「……確かに、言われてみれば街の図書館や本屋は随分減っているわね。見掛ける事は減ったし……電気信号に知識や物語を依存する、短絡的な大衆に迎合する世間の流れは、嘆かわしい事だわ……」
(…………うん、そう。市井の話。そしてここは、やっぱり大学図書館の類。初対面の私に対しての彼女の知的ぶった顔付きと物言いからして、私は異邦人の類に見えるんでしょうね……ここの大学に入った覚えはないから、実際そうなんだけれど。)
「そう、そうね……お願いいただけるかしら。随分とここに詳しくいらっしゃる様ですし。それとこの場所も教えてくださる?」
(墓地から図書館?この周辺に墓地は……まあ、まああるけれど内外の隔たりを超える方向音痴は度を越しているな……。"門の創造"でも潜ったか?)
「っはは、まああ近頃は紙媒体の需要が低い。街場の図書館は解体化縮小が進んでいる現代だ、物珍しいのはそうだろうね」
目を細め腕を組み繰り返し頷く。そういう彼女は本の巣に住む虫と言わんばかりに離れしているように落ち着いていた
「よければ外まで送ろうか?船酔いは付き物だよ、それが活字の海の上でも」